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次世代物流システム・サービス市場3兆円超へ

2019/01/28

(株)富士経済は1月28日、ロボティクス、IoT、AI等をキーワードに進化する次世代物流システム・物流サービス市場は2025年に3兆8,743億円(2017年比89.1%増)に達するとの予測を発表した。

●調査結果の概要
次世代物流システム市場は年率で10%以上の拡大が当面続く見通し。ロボティクス・オートメーションでは、多品種少量生産に対応する生産システムが実現できるAGV・アーム付AGVや、AIとロボットを組み合わせた次世代物流ロボットシステムが大きく伸びる見込み。ロジスティクスファシリティでは、自動搬送・仕分けシステムや立体自動倉庫システム等が通販市場の拡大を受けた堅調な伸びが予想される。

IoT関連では、規模はまだ小さいものの、物流向けIoTプラットフォームが物流管理業務の平準化や作業効率化のニーズ増加に対応して、今後の伸びが期待される。AIを利用した物流システムでは、物流向け音声認識エンジンやAI画像認識活用物流システム等が実証実験から本格導入へと移行することにより、伸びる見通し。

次世代物流サービス市場は、現状、低温物流サービスが2017年時点で90%以上を占めている。低温物流サービスは国内では成熟しつつあるが、今後も海外ではアジアを中心に伸びが予想される。

一方、現時点の市場規模は小さいものの、トラックシェアリングや倉庫シェアリング等、オンライン上でマッチングする新しいサービスの伸びが期待される。トラックシェアリングは、ドライバー不足が深刻化する中で、スタートアップ企業を中心にサービス展開が始まっている。倉庫シェアリングは季節変動商品の保管等で、小ロットや短期間で物流施設を利用したいニーズを捉え、今後の需要増加が予想される。

●注目市場
(1)宅配ボックスの国内市場(戸建住宅向け・集合住宅向け)
宅配ボックスは電子制御式製品と機械式製品に分類される。戸建住宅向けは、住宅建築時に取り付けられる貫通式と、建築後に玄関先に設置される後付式がある。現状、普及率は低いものの、ECの拡大による配送件数の増加や人手不足による再配達問題の解決策として、今後普及が本格化するとみられる。

戸建住宅の購入は一般消費者が中心であり、簡易な低価格帯製品が好まれるため参入障壁が比較的低く、多くの企業が参入している。生産数量の増加に伴い価格低下が進み、普及を後押しするとみられる。

(2)物流向けドローンの国内市場
市場規模
2017年:2億円
2025年予測:25億円
2017年比12.5倍

物流ドローンは少量輸送に適した手段で、配送業界の人手不足や、過疎地域で深刻化する高齢化を背景とした買い物難民問題の解決策の1つとして注目されている。

2018年3月に国土交通省と経済産業省が発表した「無人航空機の目視外飛行に関する要件」により、従来の航空法で定められていたドローン飛行レベル3の承認基準が部分的に緩和される等、市場の本格化に向けて法整備が進んでいる。当面は実証実験や試験運用を経て、ドローン飛行レベル3に当たる、山間部や離島等の特定の地域における輸送サービスの展開が進むとみられる。都市等有人地帯上でのドローン運用は2020年以降の本格化が期待されている。

課題としては、トラックと比較して可搬重量が軽いドローンを活用する場合には膨大な数が必要であることや、150m以上の高さの空域や空港等の周辺、人口密集地の上空のドローン飛行には許可が必要のため、今後の普及には課題解決への取り組みが求められる。

(3)物流向けIoTプラットフォームの国内市場
市場規模
2017年:6億円
2025年予測:27億円
2017年比:4.5倍

物流現場の情報とWMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)、ERP(統合基幹業務システム)等のシステムを収集・統合・分析し、人の配置や作業員の能率向上、流通在庫の最適化、車両管理や配車ルートの効率化といった物流業務の改善を行うためのプラットフォーム・ソフトウェアが対象。

2017年はPoC(実証実験)、PoV(価値実験)が中心で、医薬品卸やスーパーマーケットの倉庫作業業務や配送業務の最適化、効率化等での活用がみられた。2018年に入り、倉庫作業の効率化等を目的としたサービス提供が本格的に開始されている。

従来は特定の管理責任者に偏っていた倉庫作業や配車業務にかかわるノウハウの平準化、また、少ない作業者でも高い作業効率が実現できることなどが期待されている。

●次世代物流システム・サービス市場※国内市場+日系メーカーの海外実績(上)、宅配ボックスの国内市場(戸建住宅向け・集合住宅向け)(下)

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