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三井不/大林組、工事向け自動搬送システムの開発着手

2018/12/21

三井不動産(株)と(株)大林組は12月21日、建設現場における生産性の向上を図るため、共同で資材等の自動搬送システムの開発に着手したと発表した。

試作機の製作および動作確認はすでに完了し、2019年より三井不動産が建築主で大林組が施工する三井不動産ロジスティクスパーク船橋Ⅱ新築工事(千葉県船橋市)で実証実験を予定している。

建設現場では少子高齢化に伴う建設作業員の減少を見据えた対応が課題となっており、大林組は作業員が技能や熟練を必要とする加工・取付け作業に集中できるよう資材搬送作業の自動化を進めている。

三井不動産も街づくりを担う立場として、同課題に工事施工者と協力して取り組む必要があると考え、建設現場の省人化に寄与するロボットの開発と建設現場への導入を推進する中で今回の2社共同開発に至った。
 
三井不動産は今後同システムの開発を進め、オフィスビルや物流倉庫等の新築案件での標準採用を目指すほか、同システムの技術を活用してゴミの自動搬送等、竣工稼働後の建物での応用も検討していく。

大林組は同システムの開発を通じて得られたノウハウを生かし、高層ビル等大規模新築工事での夜間自動搬送の実現により、さらなる省人化を目指す。
 
●自動搬送システムについて
自動搬送システムは大林組が開発した低床式AGV(Auto Guided Vehicle)をベースに、各種機能を加えて開発。 

●自動搬送システムの機能の特徴
(1)AGV が資材ヤードで資材を自動探索し、資材を自動積載・荷下・形状と色を統一した専用パレットに資材を積載
・パレット探索用とパレット識別用の2つのカメラを用いて専用パレットを認識する。
・パレット探索用カメラは収納式で、資材ヤードで専用パレットを探す時にだけ立ち上げて使用する。
・パレット識別用カメラは専用パレットの側面部に添付した2次元マーカーを読み取り、目的の資材を識別する。 
・自動で識別した資材パレットの下に潜り込み、荷物を積載、レーザセンサによって周囲環境と自己位置を認識し、資材ヤードから資材の目的地まで搬送し、目的地で荷下ろし。
・従来の自動運転で必要だった誘導線や磁気テープによる軌道の設定が不要になる。
 
(2)オペレータと交信することでAGV自ら仮設エレベータを呼出し、建物内の上下移動を実現
・AGVは建物内の仮設エレベータのオペレータに対して専用タブレットを介し、現在階と行先階を伝えエレベータを呼び出す。
・同一階での水平移動はAGVが自動で行うため、仮設エレベータのオペレータ1名で、複数のAGVと交信しての資材搬送が可能。

(3)仮設エレベータへの自動乗降
・AGVは仮設資材を積載した状態で、仮設エレベータに自動で乗降する。
・(1)(2)の機能と合わせることで建設現場内を自動で走行し、資材を搬送するシステムを実現する。

●自動搬送システム(上)、低床式AGVとセンサカメラ(下)

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