米国フェデラル エクスプレス コーポレーションは10月7日、フロスト&サリバンと共同で作成した、アジア太平洋地域での半導体エコシステムの進化を分析するレポートを発表した。同レポートでは、人工知能(AI)、高性能コンピューティング、電気自動車(EV)、高度な通信技術の需要拡大が、半導体生産を加速させ、AI経済を支えるデジタルインフラへの投資を促していることが示されている。そうした動向に伴い、地域内外のサプライチェーンは一層複雑化しており、スピード、可視性、レジリエンスの重要性が高まっている。

同レポート「AIからEVへ:APACの半導体が世界的なイノベーションマップを推進する方法」では、アジア太平洋地域が世界の半導体エコシステムの中核を担い、世界の半導体産業売上高の約58%を占めていることを示している(※)。各業界で、AIアプリケーション、データセンター、コネクテッドデバイス、次世代自動車を支える先端半導体への依存度が高まっている。そうした中、半導体や関連技術・部材を複数の市場間で円滑かつ効率的に輸送することが極めて重要になっている。

フェデックスが半導体業界で最も影響力のある展示会の1つ「SEMICON Taiwan 2026」の会場で実施した最新調査では、地域市場の継続的な成長への期待が改めて示された。回答者の約8割が、今後3年間で半導体需要の伸びが最も大きいと見込まれる市場として、台湾、東南アジア、中国本土、日本を挙げている。

※AI から EVへ:APACの半導体が世界的なイノベーションマップを推進する方法
https://www.fedex.com/ja-jp/small-business/adapt-innovate/semiconductor-industry-trends.html

●AIインフラが半導体需要拡大を支える主要因に
同レポートでは、AIと高性能コンピューティングを、半導体需要を牽引する分野の中でも特に高い成長が見込まれる領域として挙げている。2026年から2035年にかけて、世界では2,000を超える新たなデータセンターが建設される見通し。

AIの拡大に伴い、半導体にとどまらず、高密度サーバ、ネットワーク機器、冷却システム、電力関連ソリューションなど、関連インフラ全体の需要も高まっている。それらの重要な技術は、世界各地のAIデータセンターに導入されるまでに、複数の製造、組立、試験拠点を経由することが多く、サプライチェーンはますます緊密につながり合っている。そのため、企業は高額で時間的制約のある貨物の輸送において、スピード、可視性、越境輸送の円滑さを備えた物流事業者を一段と重視するようになっている。

また、従来の自動車よりも大幅に多くの半導体を必要とするEVに加え、5G、IoT、民生用電子機器、医療機器、産業オートメーションも、幅広い業界で半導体需要をさらに押し上げている。

●アジア太平洋地域が世界の半導体エコシステムを支える
同レポートでは、アジア太平洋地域が半導体の技術革新と生産において中心的な役割を担っていることが示されている。半導体製造は単一の市場に集中するのではなく、専門性の高い拠点に分散している。各市場の主な強みは以下の通り。

・中国:主要な材料供給地および消費市場であり、半導体製造拠点としての存在感も高めている市場
・台湾:世界の先端半導体製造をリードし、世界のファウンドリー生産の約60%を担う市場
・韓国:メモリ半導体の生産および先端製造能力における世界的リーダー
・日本:半導体製造装置、材料、特殊製造資材の分野で重要な役割を担う市場
・東南アジア:半導体の組立、パッケージング、試験工程の重要拠点として台頭する地域

こうした専門化により、相互に緊密につながるエコシステムが形成されている。最終製品が市場に投入されるまでに、半導体の設計、製造、パッケージング、試験、導入が複数の国や地域で行われることも少なくないとしている。ハイパースケーラーに加え、中小企業も高付加価値のニッチ分野における成長機会の拡大を追い風に、重要な役割を果たしている。

こうした地域内での分散および連携の流れは、業界の動向にも表れている。フェデックスが「SEMICON Taiwan」で実施した調査では、回答者の35%が、今後3年間で自社の製造拠点をアジア太平洋地域内の他市場へ拡充する見込みと回答した。さらに25%が、アジア太平洋地域または世界全体で、調達先の拡大・分散を進める計画があるとしている。これらの結果から、成長を支える上でサプライチェーンの多様化を重視する動きが強まっていると指摘する。

●サプライチェーンは効率性重視からレジリエンス重視へ移行
地政学的な不確実性、規制の複雑化、その他の外部要因による混乱は、引き続き事業運営上の課題となっている。こうした中、サプライチェーンのレジリエンス強化は、企業にとって重要な戦略課題となっている。

同調査では、回答者の30%が事業成長における最大の課題として地政学的混乱を挙げており、レジリエンス重視へのシフトを裏付ける結果となった。この割合は、事業運営コストの上昇や越境貿易・通関手続きの複雑さを挙げた回答者の割合を上回っている。

こうした状況を受け、従来のジャストインタイム運用モデルを補完する形で、よりレジリエンスの高いサプライチェーン戦略の導入が進んでおり、拠点の地理的分散や安全在庫の確保等がその事例としている。これに伴い、高額で事業運営に不可欠な貨物の輸送を支える、信頼性の高い国際物流ネットワークへの需要も高まっている。

物流が半導体産業の次なる成長を支える
半導体サプライチェーンが複雑化し、世界規模での相互接続が進む中、今回の調査結果からはスピードと可視性が今後の物流戦略で一段と重要になることが明らかになった。回答者の44%が、今後3年間に物流およびサプライチェーンのパートナーを選ぶ際に最も重視する点として、より迅速な国際輸送を挙げている。

こうした需要に対応するため、フェデックスは毎日台湾と韓国を結ぶ直行便の運航を開始し、貨物受付の締切時間を3時間以上延長することで、ハイテク業界の顧客により柔軟な出荷体制を提供している。あわせて、台湾の桃園トランスシップメントセンターを拡張し、処理効率と取扱能力を高めることで、地域内で増加する半導体および先端技術関連貨物の輸送を支えている。

●レポート全文(ダウンロード)
https://www.fedex.com/ja-jp/small-business/adapt-innovate/semiconductor-industry-trends.html