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警察庁、貨物自動車に係る運転免許制度の在り方に関する報告書を発表

2014/07/10

近年、集配等で利用頻度の高い積載量2トンの貨物自動車が、保冷設備等の架装により、車両総重量が5トンを超えてしまうことが多くなっており、現行の運転免許制度と我が国で運転されている自動車の実態との間にギャップが生じているとの指摘があったことから、現在の貨物自動車に係る運転免許制度の課題を明らかにしつつ、より安全で、かつ、我が国内で運転されている自動車の実態に即した運転免許制度の在り方について検討する有識者による検討会を開催した。

昨年9月に「貨物自動車に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会」(座長:前田雅英 首都大学東京法科大学院教授)の第1回検討会を開催し、以後、関係団体(全国高等学校長協会、全日本トラック協会)に対するヒアリングを実施したほか、実車による走行実験、海外における貨物自動車の運転免許制度に関する調査及び交通事故被害者遺族に対するヒアリング結果等を参考に、計5回の検討会を開催し報告書をまとめたもの。

(1)検討の基本的考え方
トラック運送事業の実態や若年層の就職問題への対応の要請は踏まえつつも、貨物自動車に係る厳しい死亡事故の発生状況等の現実に鑑み、貨物自動車の総合的な安全対策を向上させる中で運転免許制度の改正を検討する。

(2)具体的対応案
安全性の確保、社会的合意の見通し、海外事例との整合性の視点から比較検証した結果、貨物自動車が大部分を占める車両総重量3.5トン以上7.5トン未満の自動車の運転免許について、貨物自動車を用いた試験・教習を行うことを必要とする新たな免許区分(18歳で取得可)を導入する案をベースにさらなる総合的な安全対策について検討を進めていくことが適当と考える。

(3)総合安全対策の基本的考え方
○新たな免許区分について、貨物自動車を用いた試験・教習が導入されるため、免許取得時に貨物自動車の車両特性を踏まえた運転技能が検証されることとなり、運転技能面における安全性の向上が期待。
○一方で、18歳以上で運転経験を問わずに取得できることとなることから、さらなる総合的安全対策を講じることが必要。
○総合的安全対策の内容
・初心運転者に対する安全対策の充実
・貨物自動車運送事業法体系の中での運転者研修や教育の強化
・事故防止や被害軽減のための貨物自動車の装備の拡充、運行管理
・支援システムの充実
等、ハード・ソフトの連携した総合安全対策により貨物自動車の運転の安全性向上を図る。

報告書を踏まえ、今後、関係者等とも連携を図りつつ、総合安全対策の充実を図るとともに、制度改正も視野に入れ検討を進めるとしている。

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