(一社)日本物流団体連合会(物流連)は1月1日、長澤仁志会長の2026年年頭挨拶のコメントを発表した。詳細は以下の通り。

物流連・長澤仁志会長

●物流連年頭挨拶
新年あけましておめでとうございます。
2026 年の年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。

昨年は、世界の政治・ 経済環境が一段と複雑化し、国境を越えたサプライチェーンを揺るがした1年でした。国際情勢に目を向けますと、各地で続く地政学的緊張や紛争、主要国の選挙を背景とした政策転換、保護主義的な通商姿勢の強まりなどにより、世界貿易は不透明感を増しました。また、地球温暖化対策というグローバルな共通課題に対して、秋口に行われた国際海事機関(IMO)の会合で国際海運の脱炭素規制の採択が1年延期されたことも、改めて環境問題への国際協調の難しさや 合意形成が一筋縄では進まない現実が露呈しました。国内に目を向けますと、震災などの度重なる自然災害に加えて、頻度を増すサイバー攻撃が国内の重要なサプライチェーンにダメージを与えるなど、防災を主眼としたインフラ強化に加えて、サイバー・ リカバリーへの対応も物流強靭化に必要な重点分野であると認識されました。

また、「物流の2024年問題」が提起されて以降、国内の消費低迷や物流業界及び荷主が協力し合っての輸送効率化、モーダルシフトの効果もあり、懸念されていた極端な国内の輸送能力の低下は生じていません。むしろ、最近の業界紙報道や優良事業者の表彰事例を見ると、荷主が従来にも増して主体的に物流事業者と共同して効率化を実現した多面的な取り組みも多く、物流が現場の力仕事だけでなくプランニング、設計に深化した産業であることが示されてきたと思います。元来、「すり合わせ」を得意とする日本人の強みが物流効率化という大きな課題解決に向け動き出し、トラックの輸送能力不足という物流業界のピンチが従来の輸送効率を改善し、生産性が向上するチャンスに転じ始めた年であったと言えます。

こうした1年を振り返り、謂わば「不確実性が常態化しつつある」時代においても、将来の物流を担う若い人材が誇りをもって働ける産業へと進化させていく必要があります。検討会で多くの提言を受けて国が策定段階に入る2030年に向けた次期物流施策大綱もその内容が待たれるところです。また、政府が進める重点投資17分野の中に複数の物流関連項目が含まれていることからも、国策における物流の位置づけや重要性がより濃く現れていると思います。即ち、広範囲に及ぶ経済安全保障や国土強靭化・防災といった重要施策を物流が横串的に支えることが期待されている訳ですが、国民生活や経済活動の基盤である物流サービスを安定的に維持、提供するためには、企業単位、業界単位では解決が困難な課題も多く、物流業界の連合会としても産官学の連携を一層深化させていければと思います。

結びに、本年が皆様にとって実り多き1年となりますこと、そして日本の物流業界がより強く、より信頼される存在へと進化することを祈念し、年頭のご挨拶といたします。