ヤマトホールディングス㈱傘下で共同輸配送のオープンプラットフォームを提供するSustainable Shared Transport㈱(SST)は3月28日、国土交通省の物流出資事業(※)の第1号案件として2025年2月19日に採択を受け、2025年3月28日に(独法)鉄道建設・運輸施設整備支援機構を引受先とした5,000万円の第三者割当増資を実施した。また、同日、㈱日本政策投資銀行、㈱みずほ銀行、(公財)流通経済研究所を引受先とした合計3,000万円の第三者割当増資を実施した。

SSTは、持続可能なサプライチェーンの構築を目指し、標準パレット輸送(リアル)と標準化された商流・物流情報の連携(デジタル)による共同輸配送のオープンプラットフォームを提供する会社として、2024年5月に設立された。2025年2月から、あらゆる荷主企業と物流事業者が共同輸配送を利用できる共同輸配送オープンプラットフォームサービス「SST便」を提供している。

今回、出資するパートナーの団体・企業との連携推進に加えて、引き続き、幅広いステークホルダーから出資を含めた参画を募りながら、公益性の高いオープンプラットフォームを構築し、様々な荷主企業や物流事業者に利用してもらうほか、さらなる事業拡大を目指すとしている。

●各者コメント

◎国土交通省 物流・自動車局
SSTの事業は、標準規格パレット等の混載による積載率向上が見込める取り組みであり、政府が策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」の柱の1つである“物流の効率化”につながるもの。同オープンプラットフォームを通じて、多様な荷主・物流事業者等の間で連携がより一層促進することが望まれる。これにより、幹線・地域物流における担い手不足や貨物量減少・積載率低下といった課題の解決、ひいてはフィジカルインターネットの社会実装が実現することを期待する。

◎鉄道建設・運輸施設整備支援機構
当機構は、物流分野におけるDX・GXによる効率化や環境負荷の低減を図る取り組み等に対して、財政投融資を活用した出融資を通じて支援を行っている。今回、当機構による出資を活用した支援の第1号案件として、公益性の高いオープンプラットフォームの構築を通じて持続可能なサプライチェーンの構築を目指すSSTの取り組みへの支援を実施できたことを嬉しく思う。SSTの取り組みが、今後物流効率化に大きく寄与していくことを期待する。

◎日本政策投資銀行(DBJ)
労働力不足や非効率な商習慣等、物流業界には課題が山積しているが、SSTの取り組みは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)における「スマート物流サービス」の成果も有効に活用された共同輸配送のオープンプラットフォームとして、国内の物流インフラの強靭化・高度化に資するものと期待している。DBJは、SSTとのパートナーシップを通じて、物流業界のイノベーションに貢献していく。

◎みずほ銀行
SSTが目指す、企業間の垣根を越えた共同輸配送を実現するオープンプラットフォームの提供は、「輸送力不足」や「GHG排出量削減」といった社会課題解決に向けて、新たな価値を創出する重要な取り組みと認識している。当行は、2023年2月より開始した価値共創投資により、SSTへ直接資本参加することで、ヤマトグループの価値共創パートナーとして、“持続可能なサプライチェーンの構築”に“ともに”挑んでいく。

◎流通経済研究所
流通経済研究所は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマート物流サービス」においてリテールデータ基盤の研究開発を担当し、納品データの連携や輸配送データの共同利用など研究成果の社会実装を進めている。SSTと連携・協力し、持続可能で生産性の高いサプライチェーンの構築に向けた研究活動・情報発信を拡充していく。

※流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の2024年度法改正に伴い新設された、(独法)鉄道建設・運輸施設整備支援機構による出資事業