三井倉庫ホールディングス㈱(三井倉庫HD)は1月6日、同社グループの全従業員向けに古賀博文グループCEOによる年頭挨拶を発表した。

●三井倉庫グループ 古賀グループCEOの2025年年頭挨拶

三井倉庫ホールディングス㈱ 代表取締役社長 古賀博文氏

皆様、明けましておめでとうございます。
新年を迎えるにあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

【私たちの現在】
まず当社グループの直近の業績についてです。

皆さんの頑張りをもちまして当中間期は前年同期比増収となりました。
前年まであった物流事業における特需効果がほとんどなくなったことや不動産事業の主要テナント一部退去にも関わらず、このような業績をあげられたことは、ひとえに各事業会社の皆様の頑張りのおかげです。
本当にありがとうございます。

また増収に加え、オペレーションの効率化や収受料金の適正化等、これまで地道に継続してきた施策のおかげで、様々な原価が上昇している中でも底堅く利益を確保できているということも併せて強調したいと思います。

「中期経営計画2022」は既に3年目を終えようとしていますが、数値目標を達成するためには、毎年同じようなことを申し上げていますが、この下期の業績にはとことんこだわって欲しいと思います。ここをしっかりと
乗り越え、息切れすることなく更なる成長軌道を描くことができれば、おのずと目標の達成は確かなものと
なります。

本業である物流事業が皆様の頑張りでその実力値を伸ばしていることは大変喜ばしく、大いに誇って良いと思います。企業としての稼ぐ力は着実についてきています。
その結果私たちの長年の、そして大きな課題であった不動産事業への過度な依存からの脱却をグループ全体で自信を持って進めることができる運びとなりました。

上期の好調を受け、下期はかなり厳しい数値目標を自ら課しているところですが、グループ全体一丸となり、自信と良い意味での緊張感を持ち、今期をしっかりと仕上げ、この先の更なる成長への歩みを進めてまいりましょう。

【グループ理念とマテリアリティの改定】
中計の目標達成に必要な戦略や注力すべき領域などについては、これまでにも述べてきた通りです。
なすべき施策をより良い形で実行し、その成果を最大化するためには、経営陣から新入社員の皆さん1人ひとりまでが同じ価値観や方向性を共有し、【グループ理念】を自分事(ジブンゴト)として捉え、自らの業務に落とし込むことが不可欠です。

【グループ理念】については、中計2022と同時に制定し、その内容についてはこれまでも幾度となく述べてまいりましたので割愛しますが、
○私たちの存在意義である「パーパス」、
○中長期的に目指す姿である「ビジョン」、
○価値観・行動指針としての4つの「バリュー」、
これらで構成されていることを思い出してください。

そして、この【グループ理念】を体現・実現していくために、「企業が中長期的に優先して取り組むべき重要テーマ」が、昨年改定を行った【マテリアリティ】です。

【マテリアリティ】については、当社グループでは2020年に初めて特定しました。
特定から4年を経て、このたび改定を行った理由は、
「外部環境の激しい変化の中でも当社グループがしっかりとした存在価値をこれからも示し続けていくために、優先して取り組んでいくべき課題は何か?」
を改めて考え、定めることが必要だと感じたためです。

改定された新しいマテリアリティは8項目から構成されています。
その特定にあたってはサステナビリティ委員会や経営会議、取締役会などで当社グループのビジネスモデルや強み、今後の方向性等と併せ議論を深めてきました。

この8項目に特定された理由や考え方、そこに描かれている未来像、そして、皆さんの業務やグループ理念との関連性等について少しずつでも良いので必ず理解してください。

内容についてはグループポータルサイトに私からのメッセージが掲載されていますし、昨年10月に発行された統合報告書「VALUE REPORT 2024」にも詳細に説明されていますので、熟読の上、職場単位での議論、共有、深掘りをして下さい。

【真の成長のために】
ここまで中計の目標達成とグループの成長について述べてきましたが、その実現・持続のために特に重要だと思う要素を2点に絞りお話しします。

まずは、「グループ一体化の推進」です。
これまでも注力してきましたが、その成果は物流事業において各社が生み出している現在のシナジー効果をみれば明らかです。
この動きを加速させ、加えて組織風土の改革も併せて実現するために、現在都内3拠点に分かれている東京地区のグループの各本社オフィスを、2025年5月に新オフィスである「MSH日本橋箱崎ビル」に移転・統合いたします。

箱崎ビルは三井倉庫の本社及び倉庫建物を再開発した当社グループの故郷(ふるさと)です。その箱崎から茅場町に本店を移したのが1984年の11月24日とのことですので、実に約40年ぶりの里帰りということになります。
コミュニケーションの活性化、意思決定の迅速化を図り、様々な垣根を超えたコラボレーションを推進する仕組みを作り、そこで生まれるグループ一体化による成果を広げていきます。

もう1点は、やはり「人材」です。
人材こそが当社グループの価値創造の源泉です。
現在、グループ従業員の1人ひとりが誇りとやりがいを持って、その能力を最大限に発揮してもらえることを目指して様々な施策を実施、検討しています。
個人が強くなることで組織も強くなる。そしてそれは当社グループの持続的な成長を下支えする礎(いしずえ)になっていきます。

スポーツの世界同様ビジネスの世界でも、二刀流、三刀流を高い次元で実現することは容易なことではありませんが、お互いが補い合うことで同様の成果を得ることは可能だと思います。そういう意味でも個人的には、ベスト・プラクティス・アワードの中に新設されたMSP、モスト・サポーティブ・パーソン部門に注目しています。

周囲の人をサポートして多くの方から感謝され、企業価値の向上に貢献している個人を表彰するこの賞に推薦される人が増えることを願っています。今後会社の垣根を超え、グループ全体からMSP賞に推薦されるような方々が多数出てくるようなことがあれば、私としてこれ以上うれしいことはありません。

【最後に】
これまでの皆様の頑張りによって当社グループは厳しい状況の中でも安定的な成長を見込める体質に変貌を遂げてまいりました。
安定的な成長と一言で言うのは簡単ですが、それはお客様の抱える課題に最前線で対応している世界中の各現場の、まさに血のにじむような努力の積み重ねの結果である、ということを忘れてはいけないと思います。

4つのバリューの1つに「リスペクト」がありますが、そういう意味でも私は従業員の皆様に対する「リスペクト」を忘れてはいけない、といつも思っています。少しの配慮やコミュニケーションがあれば、防ぐことができたであろう小さなミスで、皆様の努力を無にしてしまうようなことがあってはならないと肝に銘じています。
皆様にもこれまで同様の真摯な取組みを続けていただくと共に、脇をしっかりと締めて業務にあたっていただきたいと思います。

最後になりますが、この1年は私たちのこれからの成長を占う本当に大事なピリオドになると思っています。
これまで進めてきた取り組みを緩めることなく、自信をもってグループ一丸となってこの新しい年に新しい価値を創り出していきましょう。
そして、当社グループの新たな歴史の1ページを共に描いていきましょう!