日本郵便㈱(JP)、日本郵便輸送㈱およびJPロジスティクス㈱と、セイノーホールディングス㈱、西濃運輸㈱の5社は5月9日、物流課題の解決に取り組み、持続可能な物流サービスを提供するため、幹線輸送(顧客から荷物を預かる集荷拠点から配達拠点までの長距離輸送)の共同運行を目的とした業務提携に関する基本合意書を締結した。

幹線輸送の共同運行イメージ

物流業界は、トラック運転手の時間外労働の是正に伴い輸送力が不足する2024年問題や、少子高齢化による一層の人手不足等、深刻化する様々な課題に直面しており、大きな変革を迫られている。それらの物流課題の解決に向けては、企業の垣根を超えた「共創」が重要であるとの共通認識のもと、JPグループとセイノーグループは今年2月より幹線輸送における共同運行の可能性を検討するため、トライアルに取り組んできたが、両グループによる検討の結果、今回の基本合意に至ったとしている。

日本郵政グループが目指す「共創プラットフォーム」と、セイノーグループが描く「オープン・パブリック・プラットフォーム」は、共に「共創」を志す将来ビジョン。目指す方向性が合致する両者が相互に強みを活かすことでWin-Winな「共創」が実現できると考えている。

今後は、幹線輸送の共同運行に向けて具体的な方策を策定するほか、幹線輸送に留まらない共同化や協業の可能性についても検討を深めつつ、物流サービスの維持・向上に努めていくとしている。

●業務提携の目的
JPグループとセイノーグループは、幹線輸送における共同運行を実現するため、取り組みを進めていくとしている。

荷物を互いに積み合わせて行う共同運行により、輸送効率の向上や、環境負荷の低減、顧客にとっての利便性維持に繋げるほか、物流課題に対応していくことが今回の協業の主な狙い。

また、両者の物流ネットワークの進化を通じて、効率がよく、便利で、強靭な「サステナブルな物流」を実現し、国民生活や経済活動を支えることで社会に貢献することを目指していく。さらに、各社の協調領域と考えられる幹線輸送から取り組みを始めることにより、誰でも参加可能なプラットフォームの役割を担い、業界連携の輪を拡大させるほか、物流業界の魅力向上、働きがいのある環境づくりを牽引し、業界ステータスの向上に貢献していくとしている。

●業務提携の内容
JP・セイノー両グループは、2024年3月28日付の共同運行トライアル実施に関するリリースの通り、すでに幹線輸送の共同運行トライアルを実施しており、相互理解を深めてきた。

今後は、共同運行を推進する両者合同チームを立ち上げ、荷物の受け渡しの方法や発着拠点の使い方等、共同運行の際に課題となる部分を洗い出しながら、ルールや仕組みづくりに着手していく。さらにトライアルに留まることなく、共同便を定常的に運行する状態を1つの大きな目標とし、実効性にこだわりながら取り組みを推進していくとしている。

幹線輸送の共同運行トライアルに取り組む両グループのトラック