コマツは11月20日、100%子会社のコマツアメリカ㈱を通じて、米国バッテリメーカーのAmerican Battery Solutions, Inc(ABS社)を買収することを決定した。

クロージングに必要なすべての手続きが完了していること等を条件として、2023年12月1日に今回の買収を完了する予定。なお、この件による同社連結業績への影響は軽微としている。

左よりコマツ代表取締役社長(兼)CEOの小川啓之氏、ABS社会長兼CEOのSubhash Dhar氏

ABS社は、商用車および産業用車両向けリチウムイオンバッテリを含む多様なバッテリパックの開発・製造を手掛けるバッテリメーカーで、各顧客のニーズに応じて最適化されたバッテリーシステムを提供している。ABS社は優れた性能を持つバッテリパックの開発・製造技術を保有しているほか、高い製品開発の知識とノウハウを備えた人材を有している。

今回の買収により、同社が持つバッテリ技術とコマツの知見・ネットワークを融合することで、様々な環境や条件の下で使用される建設・鉱山機械各機種に合わせて、最適化されたバッテリの開発・生産が可能になる。まずは電動化の需要が高まっている北米・南米の鉱山機械への同社製バッテリの導入を進め、将来的には建設機械への展開・グローバル供給体制の構築を目指す。また、今回の買収後も、コマツはABS社のバッテリビジネスを継続・支援し、電動化事業のさらなる成長を図っていく。コマツは2023年度を電動化建機の市場導入元年と位置付け、電動化の取り組みをさらに加速化させていく方針で、ABS社の買収はそのマイルストーンになるとしている。

今回の買収完了後も、ABS社は独立したグループ企業として、現在の商用車向け事業について引き続きオペレーションを継続する。さらに、コマツを通じた新たな事業機会の獲得によって、商用車および建設・鉱山機械市場における世界有数のバッテリシステムプロバイダーを目指すとしている。

今後、コマツはパートナー企業と進めている様々な取り組みと共に、新たに獲得したABS社のバッテリ技術を活用することで、経営目標として掲げている、2030年までに製品使用により排出されるCO2の50%削減(対2010年比)、チャレンジ目標としている2050年までのカーボンニュートラル達成に向け、バッテリ駆動式電動車の開発を加速させ、建設・鉱山機械の電動化市場の形成、および脱炭素社会の実現により一層貢献していく。

●ABS社の概要
会社名:American Battery Solutions, Inc(非上場企業)
設立:2019年
所在地:米国 ミシガン州 レイクオリオン
代表者:Subhash Dhar
事業内容:商用車向けバッテリの開発・生産・販売
会社URL:https://www.americanbatterysolutions.com/

低電圧用バッテリーパック(左)と高電圧用バッテリーパック(右)