アスクル㈱は5月31日、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」に選定されたと発表した。

「DX銘柄」は東京証券取引所に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を業種区分ごとに選定して紹介するもの。単に優れた情報システムの導入、データの利活用をするにとどまらず、デジタル技術を前提としたビジネスモデルそのものの変革および経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業がDX銘柄として選定され、さらなる活躍が期待される。

今年度は2社が「DXグランプリ」、32社が「DX銘柄2023」として選定された。

●評価された主なDXの取り組み
(1)一貫したバリューチェーンを構築し、既存ビジネスを起点に新たなビジネスを創出した点
同社は2025年5月期までの中期経営計画における最重要戦略としてプラットフォーム改革を掲げ、その実現のため「ECのバリューチェーン全体のDX」を推進している。商品開発・商品情報登録から発注、入荷、保管、販売、出荷、配送までの一連の流れを担う同社においてAIを用いた業務の最適化やロボット活用等による自動化や省力化を組み合わせ、一貫したバリューチェーンを構築しているほか、通販事業の既存ビジネスを起点とし、中小企業向けのDX推進トータルサポート事業、B2B事業におけるビックデータを活用したメーカー向け広告ビジネス事業を立ち上げ、新たなビジネスを創出した点も評価された。

(2)横断的なDX組織を設置するなど経営戦略にDX戦略が組み込まれている点
2025年5月期を最終年度とする同社の中期経営計画では、DXを重点施策と位置づけ、DXを経営戦略そのものに組み込んでいる。テクノロジーボード、データアナリティクスボード、ビジネスマネジメントボードを横断的に社内に設置することでDX組織を実現。さらに、データやテクノロジーを使いこなせるDX人材を社内で育成する独自の研修プログラム「ASKUL DX ACADEMY」を2021年9月に開校し、継続的に展開する等、DX推進体制が増築され、人材の育成に積極的である点が評価された。

(3)DX推進について対外的にメッセージを発信し続けている点
決算報告やInvestors Guide等でDX推進へ言及することは勿論、CEO自らが各種メディアでの対談・インタビューでテクノロジー活用やDX推進について積極的にメッセージを発信しているほか、DXの取り組みを発信するサイト「ASKUL Transformation with Digital」を2021年7月に開設し、「プレスリリース」「メディア掲載情報」「講演・イベント登壇情報」「物流関連」「人材育成」等のトピックスでDXに関連する取り組みをタイムリーに公開。さらに、統合報告書内でもDXについての特集ページを設ける等、対外的にDX推進について発信し続けている点が高く評価された。

●総合的な評価ポイント
社名の「明日来る」(あすくる)を実現すべく、自社物流を活かして品揃えを強化しつつ、多品種の商品の欠品を未然に防ぎ、さらに配送を効率化するために、物流センターにおけるデジタル化・ロボット化を推進していることが評価されたほか、EC企業としてデジタル活用やビッグデータ分析との相性の良さも有利に働く点が指摘された。

●DX銘柄2023公表プレスリリース
経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230531001/20230531001.html
東京証券取引所
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/1120/20230531-01.html