㈱久原本家グループ本社とヤマト運輸㈱は7月5日、創業200年に向け持続的な成長と持続可能な社会の実現を目指す久原本家の原材料の調達から販売にいたるEnd to Endのサプライチェーン全体の最適化に向けた共創ロジスティクスパートナーシップ協定を締結した。

久原本家は1893年創業の醤油蔵を起源にもつ福岡県の総合食品メーカーで、福岡県を拠点に全国の販売店舗と百貨店の食品売り場やスーパー等の流通店舗、公式通販サイトで商品の販売を展開している。また、創業200年を見据え、7月14日には調達元である北海道に新工場を開設し、事業拡大による持続的な成長と持続可能な社会の両立の実現に向け、複数のサプライチェーンの統合と最適化を検討してきた。

ヤマト運輸は、物流を通じて企業の経営課題を解決し、持続可能な成長を実現するリードロジスティクスパートナーとして全国100か所以上の倉庫、宅急便・ルート集配(ミドルマイル)等の輸配送ネットワークと在庫管理システム等を一元管理し、在庫の可視化や適正化によるオムニチャネルの競争力強化および環境負荷低減等、サステナブル経営に資するサプライチェーンの変革を支援している。

今回の協定締結を機に、両社は北海道内のヤマト運輸のミドルマイルネットワークを活用し、久原本家の北海道新工場の原料調達に関わる物流を構築するほか、「販売店舗」・「流通店舗」・「通販」向けの各サプライチェーンを統合し、福岡と北海道の両製造拠点から全国の顧客に向けた商品供給の最適化を進める。通販サイトで購入された商品の配達までのリードタイム短縮、店舗への納品方法の改善によるスタッフの接客時間創出等を通じてEXの向上するほか、久原本家ポイントサービス130万人の会員顧客に対して一層のCX向上を実現する。

今後の展開として、2022年7月の北海道工場稼働を機に、原材料調達スキームを段階的に導入。2022年度より福岡・北海道の2つの製造拠点から全国に向けた全商品のサプライチェーン統合を順次進めていく。2024年度中には今回の協定で合意された、調達領域を含めた全チャネルの全商品の最適なサプライチェーンの構築を目指す。

●今回の協定で両社が目指す姿

左から ヤマト運輸 代表取締役社長の長尾裕氏、久原本家グループ本社 社主の河邉哲司氏

●共創ロジスティクスパートナーシップ協定に関する内容
持続的な成長と持続可能で多様性が尊重される社会の実現を目指して、地域住民やあらゆるパートナーと一体となったサプライチェーンを構築する考えのもと、以下の4点を実行することで合意した。

(1)最適なサプライチェーンの構築
チャネル・商品ごとで個別最適となっていたサプライチェーンを統合し、福岡・北海道の両製造拠点から全国に向けた最適なサプライチェーンを構築する。

(2)タイムリーな供給を実現する物流体制の構築
全国34の販売店舗およびお取引のある流通店舗、また公式通販サイトで販売される商品、および工場で使われる原料や資材1万点超の在庫を一元管理する。特に販売物流では、チャネル間の在庫を流動化させ、需要や状況に合わせた最適な輸送方法をTMS(Transport Management System:輸配送情報管理システム)でコントロールし、必要分のみを各拠点・店舗へタイムリーに供給する物流体制を構築する。

(3)原材料調達のための効率的なスキームの構築
ヤマト運輸のミドルマイルネットワークを活用し、北海道・福岡の工場向け原材料調達の効率的なスキームを構築する。

(4)持続可能性のあるオペレーションの実行とCO2排出量の削減
地球環境に配慮した、持続可能性のあるオペレーションの実行と、商品配送にかかるCO2(二酸化炭素)排出量を削減する。