㈱矢野経済研究所は5月25日、2020年度物流17業種総市場規模が前年度比97.6%の20兆405億円と推計したと発表した。

物流17業種総市場規模推移・予測

国内(内需)関連物流では、EC市場や食品スーパー等の一部小売業態、医薬品・医療機器関連、半導体等のエレクトロニクス関連等、堅調に推移した分野もみられた一方で、コロナ禍により低迷した自動車産業等の国内主要産業向けの物流は勢いに欠ける結果となった。

国際物流では、新型コロナウイルス感染拡大により、特に2020年度前半に世界的な経済活動の停滞がみられ、海上輸送・航空輸送ともに荷動きが大きく低迷した。その後、中国の生産活動や米国の消費回復等がみられ、荷動きは復活傾向に向かったが、海上コンテナ輸送をはじめとしたコンテナ貨物の滞留や滞船、運航遅延が頻発し、荷動き回復の大きな足かせとなった。

一方、2021年度の物流17業種総市場規模は前年度比107.7%の21兆5,810億円を見込んでいる。

EC市場の拡大を受け、引き続きラストワンマイルを中心とした物流業種の宅配便や軽貨物輸送等は堅調に推移する見込み。また、産業向けの物流も2020年度に比べると回復する見込みであるほか、海上輸送・航空輸送の需給ひっ迫による輸送運賃の高騰も継続すると見ている。

なお、前年度比7.7%増という大幅な市場拡大は輸送運賃の高騰に因る部分が大きく、物量や荷動きがコロナ禍以前の水準に回復することは想定していない。物流業種別では、海運や宅配便、航空貨物輸送、フォワーディング等が大幅に増加し、市場規模を押し上げる見込み。

また、本調査における「物流17業種」とは、海運事業、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業、宅配便事業(国内)、特別積合せ貨物運送事業、普通倉庫事業、フォワーディング事業、一般港湾運送事業、冷蔵倉庫事業、引越事業、航空貨物輸送事業、鉄道利用貨物運送事業、軽貨物輸送事業、国際宅配便事業、鉄道貨物輸送事業、バイク便輸送事業、納品代行事業、その他事業(トランクルームおよび周辺事業)を対象としている。

●調査要綱
調査期間:2022年1月~4月
調査対象:国内有力物流事業者等
調査方法:矢野経済研究所専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話アンケート調査、ならびに文献調査併用