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産車協・水野会長「脱炭素化に資する製品で顧客貢献を」

2022/01/05

(一社)日本産業車両協会は、同協会・水野陽二郎会長による令和4年の年頭所感を発表した。

●年頭所感
一昨年来、世界的な新型ウイルスの感染拡大により、日本でも昨年9月末に至るまで、ほぼ継続的に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出され、我が国の社会、経済は大きな影響を受けました。

こうした中で、昨年7月に政府では今年度の実質GDPの伸びを0.3%下方修正しながらも、年度後半には回復ペースが速まり、年内にはコロナ前の水準を回復することが見込まれるとしましたが、7~9月期の実質GDPは前期比3%減少となり、加えて変異株「オミクロン株」の感染拡大もあり、その実現が難しくなっている状況です。

産業車両の国内生産額については、1~10月の累計で10.4%増加、主力機種のフォークリフトでも7.2%増加と回復基調が見られます。また、世界全体の乗車式フォークリフトの販売も1~9月の累計で18.7%増加、歩行操作式を合せると31.4%増加と前年の落ち込みからの反動もあり高い伸びとなっております。

協会もウィズコロナの下、活動が制約される状況ではございますが、「物流の効率化」、「安全の向上」、「環境負荷の低減」への貢献による業界の健全な発展と世界トップの業界であり続けるために、この三本柱について事業を実施してまいりました。

まず「物流の効率化」に関しましては、昨年6月に政府の総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)が決定され、“物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化”などの方針が打ち出されました。そこでは物流のデジタル化と機械化・自動化を推進するための標準化の重要性が強調されましたが、私どもがかねてより要望しておりましたパレットの標準化に向けた官民連携による取り組みが先陣を切って開始されました。フォークリフト等のさらなる活用と自動化の加速のためにも、ぜひ実現していただきたいと考えており、協会としても建設的な意見具申や提案を行ってまいりたいと考えております。

次に「安全の向上」に関しましては、一昨年に中止・延期とせざるを得なかった「フォークリフト安全の日」を7月2日に、規模を縮小しながら開催することができました。そこで報告したフォークリフトの最新の安全技術・装備に対して、ご後援をいただいた厚生労働省からも大きな関心と期待を寄せられ、普及促進に向けた連携した取り組みを続けているところです。今年も7月初旬に開催できるよう準備を進めておりますので、こうした取り組みの成果の一端も発表できるようにしたいと考えております。

また会員各位のご支援ご協力を得て取り組んでまいりました、無人搬送車システムのJIS安全規格の改正作業も、関係省庁や学識者、そしてユーザー業界のご参加も得て原案完成に至り、この3月には発行される見通しとなっております。

10月に開催した国際物流総合展イノベーションエキスポでも、多くの無人搬送車システムが出展されておりましたが、先ほど申し上げた物流の機械化・自動化のさらなる普及拡大に、この新たな安全規格がさらに貢献できますことを願っております。

最後に「環境負荷の低減」に関しましては、2050年カーボンニュートラルの実現という日本の目標達成に向け、政府におかれましては、昨年9月に2030年までに2013年度比CO2を日本全体で46%削減、そして産業界では38%削減を目指す新たな地球温暖化対策計画が策定されました。

産業車両業界では、かねてより電気車、さらには水素を用いる燃料電池車の開発と普及促進によるCO2排出削減に取り組んでまいりました。またカーボンニュートラル行動計画の着実な推進を進めており、2020年度の工場からのCO2排出量を、基準年度である2005年度実績から約半分まで減らすことができました。

新たな日本としての目標実現に寄与すべく、2030年目標の上積み、さらには2050年に向けたビジョンの策定を進めてまいります。併せて低炭素化・脱炭素化に資する製品によるお客様の事業所での目標達成に貢献してまいりたいと考えます。
このように事業の進捗が図られた一方で、長年に亘り継続実施している日欧米中の業界による「アライアンス業界首脳会議」の日本での開催は、今回も2年連続で中止・延期とせざるを得ませんでした。世界的なカーボンニュートラルに向けた取り組みや、新たな国際貿易秩序の下での自由で公正な貿易の実現、さらには物流のデジタル化・自動化の方向性といった課題について、世界各国・地域の業界トップが率直な意見・情報の交換を行って、業界全体のバージョンアップを図っていく貴重な機会を実現できなかったのは大変残念でありますが、今年の秋こそ、日本がホストを務めて開催したいと願っております。

以上、私ども協会の今年度の活動の一端をご紹介させていただきました。

今年の10月には国際物流総合展を東京で開催する予定です。前回は昨年3月に愛知県で限定的な開催となりましたが、今年は過去最大の規模で、物流を取り巻く課題解決のみならず、日本の物流をさらに発展させるための、新たな製品、サービス、ソリューションを広く紹介してまいりますので、ぜひご期待下さい。

物流の世界でも、AIやIoT、ロボット、そしてDX等の新技術が加速的に導入・活用され、大きな変化の時代を迎えております。産業車両業界としましても、製品の単なる提供にとどまらず、ソリューションの提案による課題解決へという業界のミッションの再定義化も図りながら、物流の発展に貢献してまいりたいと考えておりますので、会員の皆様のご協力ご支援を引き続きよろしくお願い申し上げます。

そして経済産業省、国土交通省、厚生労働省、環境省をはじめとする関係御当局におかれましても、協会の活動に関しまして、より一層のご指導ご支援を賜わりますようお願い申し上げます。

本年こそは、皆様が安心して事業活動に邁進いただける1年となりますよう心より祈念して、年頭のご挨拶とさせて頂きます。

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