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全ト協・坂本会長「ドライバーの取引環境改善を」

2022/01/05

(公社)全日本トラック協会は、同協会・坂本克己会長による令和4年の年頭所感を発表した。

●年頭所感
私たちトラック運送事業者は、国民のくらしやわが国の産業活動を支えるエッセンシャルな公共輸送サービスの担い手として、その重要な使命を果たすべく日夜懸命に努力してきました。一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や燃料価格高騰に見舞われ、今や多くの事業者が厳しい状況に直面しております。

全日本トラック協会としましては、地域経済と国民のくらしを支えるトラック輸送サービスを何としても守り抜いていくべく、燃料高騰対策等の諸課題に総力を挙げて取り組んでまいります。また、ウィズコロナ・アフターコロナへの対応にも力を注いでまいります。

一方で、「標準的な運賃」の活用等による適正な運賃・料金収受をはじめ、「荷主対策の深度化」や「規制の適正化」など、改正貨物自動車運送事業法に係る対応も加速していかなければなりません。

わが国の物流の将来のためには、標準的な運賃のさらなる浸透に向けて取り組みを加速させるとともに、各事業者が荷主との交渉を積み重ね、ドライバーの労働環境改善の原資となる運賃・料金を適正に収受していくことなどを通じて、当業界を取り巻く様々な課題を解消させていかなければなりません。また、燃料価格高騰が続く中においては、燃料サーチャージ制度を活用し、燃料価格高騰分を適正に運賃に反映させていく必要があります。

全ト協としましては、国土交通省などと連携しながら、荷主関係団体・企業などに対して、「標準的な運賃」、「燃料サーチャージ」等による適正な運賃・料金の収受に関する理解醸成への取り組みを加速させていくなど、ドライバーの長時間労働の是正および取引環境の改善等に向けた適切な対応を講じてまいります。

わが国経済の屋台骨であるトラックによる物流を維持していくためには、優秀な人材を確保し、労働力不足を解消させていくことが何よりも必要です。

全ト協としましては、多様な施策による良質なドライバーの確保対策を積極的に推進し、女性、高齢者および若年層などといった労働力の確保・育成・定着対策を力強く推し進めてまいります。

また、新技術を活用した物流DXの推進など、物流のさらなる効率化に向けて取り組んでいくとともに、重要物流道路等、広域道路ネットワークの整備および高速道路料金の割引の拡充など、トラック運送事業者にとって使いやすい道路の実現にも引き続き取り組んでまいります。

令和2年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。

全ト協では、環境対策に関する様々な動向を踏まえ、「新・環境基本行動計画」に代わる、トラック運送業界における新たな環境対策の検討を進めています。地球環境を守り、持続可能なトラック運送業界の実現を図るため、環境・SDGs対策を推進してまいります。

飲酒運転が全国的な社会問題としてマスコミで大々的に取り上げられる一方で、事業用トラックによる飲酒運転事故件数は横ばいで推移しており、未だ根絶には至っておりません。

全ト協ではこのような状況に鑑み、昨年9月に開催した第117回交通対策委員会において、業界全体として飲酒運転根絶意識を共有するとともに、関係者一丸となって取り組みを強化することにより、トラック運送業界から飲酒運転を根絶することを決議しました。
会員事業者の皆様におかれましては、引き続き、交通および労災事故の防止対策の推進をお願いいたします。

トラック運送業界にとっては、厳しい状況が続いておりますが、「我々トラック運送業界こそが、わが国の経済とくらしを力強く支えている」という強い気概をもちながら、業界が一丸となってこの難局を切り抜けてまいりたいと考えております。会員事業者の皆様方のご理解、ご協力を切にお願いしながら、新年のごあいさつとさせていただきます。

●(公社)全日本トラック協会・坂本克己会長

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