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三井倉庫HD・古賀社長「変化は新たな価値を生み出す力」

2022/01/05

三井倉庫ホールディングス(株)は1月5日、同社の古賀博文代表取締役社長による2022年の年頭挨拶を発表した。

●年頭挨拶
昨年を振り返りますと、経済・社会・生活、全ての局面でまだまだ制約が続いた状況でありました。そのような状況ではありましたが、当社グループはサプライチェーン上の様々な混乱や需給バランスの歪みなどに対して適切に対応できたことや、ベースとなる業務が堅調に推移したこと、そしてこれまで進めてまいりました粗利益改善やコスト削減などの施策による収益力の底上げなどにより、厳しい事業環境下でも底堅く収益を確保することができました。

本年は、5か年の現中期経営計画の最終年であり、新たな中計のスタートを切る年となりますが、現在注力している【圧倒的な現場力の構築】【一気通貫の「統合ソリューションサービス」の構築】【ESG経営】、この3つの施策への取り組みは今後も継続してまいります。今後この3つをはじめとする様々な施策を実施していくにあたり、その下支えとなる取り組みとして「DX戦略」と「ESG経営」の二つを重視してまいりたいと思います。

物流のDXは、経済・社会活動にとって大変重要な役割を果たすものと考えます。DXの実現には自らが変化すること、そして変化し続ける姿勢を持つことが不可欠であるとの考えのもと、当社グループのDX戦略に沿った各種取り組みや様々なプラットフォームとの連携、協創を通じて新たな価値を創出してまいります。「物流のDX無くして、お客様のDXは実現しない」という意識を強く持って様々な取り組みを進めてまいります。

「ESG経営」も「DX戦略」とならび、重要な取り組みとなります。これは私の持論なのですが、日本の企業には利益を求めることと同等に、社会的な責任も同様に果たしていく、という精神がそもそも根付いていると考えています。これからは企業と社会がお互い成長していくための取組みが一層必要とされるようになるでしょう。物流を通じてお客様のサプライチェーンサステナビリティを支援する【三井倉庫の SustainaLink(サステナリンク)】サービスを昨年開始したのはまさにこの想いからです。これまで提供してきた様々なサービスに、持続可能性という視点をさらに加えることで、環境リスク、労働力リスク、災害リスクといった物流を取り巻く様々な社会課題にも対応可能な物流体制を構築し、提供していきたいと考えております。

近年、グループの各社が協調し、各々の強みを十分に認識し伸ばしてきたことに加え、総合物流企業グループとして幅広い事業ポートフォリオを構築してきたことで、ベース収益とフロー収益がバランスよくマッチし、着実な成果を挙げており、業績については安定した状況が続いておりますが、足下を改めて見た時、私の認識は「まだスタートラインに立っただけ」というのが正直なところです。

「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。」という言葉にあるとおり、変化に積極的に対処し、自らを進化させていくことが厳しい競争に打ち勝ち、生き残っていくためには不可欠と考えています。「変化」は、私たちの「新たな価値」を生み出す大きな力です。

現中計の数値目標は既に達成し、盤石とは言えないかもしれませんが今後の持続的成長を支える財務基盤も強化できたと言えます。しかしあえて厳しく言えば、これまでの取り組みはとにかく「再生」を優先してきたもので、「真の成長」のために必要な取組みを次期中計では、より重視していきたいと考えています。その取り組みの一つとして「従業員エンゲージメントの向上」を挙げたいと思います。仕事面だけではなく、従業員、そしてその家族の方々の生活の充実なくして、当社グループの持続的成長もあり得ないという思いのもと、取り組みをグループ全体に広げていき、真の意味での良い会社にしていく取り組みを進めてまいります。この取り組みの進展と、私たちが求める「新たな価値」の創造は、車の両輪のような存在と言えるかもしれません。

今後 30 年あるいは 50 年を展望した非常に大事な次期中計が始まろうとする本年、変化が激しい時代においても変わらない確固たる私たちの価値はなにか?社会における役割や提供できる価値、私たちにしかできない物流とはなにか?そしてなにより「どのような物流企業を目指していくのか?」ということを愚直に考え、なすべきことを整理し行動してまいります。

これからも厳しい状況は続くかもしれませんが、「物流を止めない」という社会的使命を果たし、「物流という重要な社会インフラを支える企業」としての誇りを持ってグループ一丸となって新たな時代を進んでまいります。

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