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トレードワルツ、9億円の追加資金調達を実施

2021/08/26

東京大学協創プラットフォーム開発(株)(東大 IPC)、三井倉庫ホールディングス(株)(三井倉庫 HD)、(株)日新、(株)TW Linkの4社と、貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」を運営する(株)トレードワルツは8月26日、トレードワルツへの共同出資に合意し、上記4社は合計9億円の追加出資すると発表した。これによりトレードワルツの資金調達累計は30億円となる。

日本と世界の貿易手続きに含まれるアナログコミュニケーションの完全電子化を目指すトレードワルツは、2020年11月に(株)エヌ・ティ・ティ・データをはじめ7社の共同出資で事業を開始。貿易コンソーシアム活動を通じ50%以上の貿易実務効率化を実証した貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」の国内普及を、政府と連携して進めている。しかし、TradeWaltz の国内普及を進める上では、貿易DXを目指す物流会社の協力を得る必要があるほか、ALL JAPANで貿易DXを実現するには官民に加え「学」が持つ知見を取り込み、産官学で貿易の未来ビジョンやデータを起点とした様々な付加価値サービスを考えていく必要がある。

そのため、トレードワルツは今回、三井倉庫HD、日新、TW Linkといった物流会社を新たな株主として迎え、国内物流会社への普及と新たな物流DX サービスの検討へ着手するほか、東大IPCを新たな株主として迎え、TradeWaltzに蓄積・許諾されたデータを活用し、どのような付加価値サービスを生み出せるか、東京大学と検討していく。

●東大IPCとの取り組み
東大 IPC は、「企業とアカデミアとの連携によるベンチャーの育成・投資」をコンセプトとする AOI1号ファンドを運営しており、各業界のリーディングカンパニーからのカーブアウトや JV設立等、新しいベンチャー設立手法や投資に挑戦している投資会社。今回、高い技術力・事業構想力と日本中の大企業によるバックアップを受けられるトレードワルツを通じ、貿易立国である日本を支える国際物流のDX化を実現すべく、同社への出資を決定した。投資後は、同社唯一のファイナンシャルインベスターとして、数多くのベンチャー投資とIPO実績を通じて培ったノウハウを生かした株式公開支援を実施していく。また、本投資に先立ち、スタンフォードから帰国して東大のマーケットデザインセンター長に着任された小島武仁教授が、トレードワルツアドバイザリーボードへの着任している。東大 IPC は引き続き、同社の産学連携活動も支援して参ります。
※小島武仁教授:世界トップレベルの経済学者。専門は「マーケットデザイン」で、データのマッチングによる新規市場の構想・社会実装に強みを持つ。トレードワルツに今後蓄積され、ユーザーの利用許諾を頂いたデータを基に、マーケットプレイス(商流マッチング)、カーゴマッチング・物流最適化(物流マッチング)など様々な機能・分野でのアドバイス、および必要な世界中の研究者ネットワークを提供予定。

小島 武仁氏(略歴)
2003年 東京大学経済学部 卒業
2008年 ハーバード大学 Ph.D.
 イェール大学・コウルズ財団 ポスドク
2009年 スタンフォード大学 助教
2013年 スタンフォード大学 准教授
2019年 スタンフォード大学 教授
2020年 東京大学 教授
2020年 東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)所長

●三井倉庫HDとの取り組み
三井倉庫HDは、「物流」という重要な社会インフラを支える総合物流企業。物流デジタルトランスフォーメーション(DX)は、顧客をはじめ各企業のDX実現に必要不可欠な基盤で、三井倉庫HDは物流DXによるSCMの最適化・効率化に資するプラットフォームの構築を通じ、多様化する世の中に対する新たな価値の創出と提供を目指している。その取り組みの一環として、今回の協業を通じトレードワルツの持つ高度な技術力と三井倉庫HDの持つ物流の知見を融合することで、国際貿易における書類の電子化、業務の自動化等を実現していく。

●日新との取り組み
日新は本年度4月に物流DX推進室を設置し、国際物流の進化を目指して新たな物流サービスの開発に取り組んでいる。トレードワルツの貿易プラットフォーム基盤を活用することで、フォワーディングサービスのデジタル化を進め、荷主に分かりやすく、よりスピーティーな国際物流ポータルサービスの提供を目指す。また、IoT 技術を活用した国際物流の可視化に取り組んでおり、トレードワルツが持つブロックチェーン技術と組み合わせることで、円滑で効率的なグローバルサプライチェーンの実現に向けてチャレンジしていく。

■TW Linkとの取り組み
TW Linkはトレードワルツの既存株主である総合商社の兼松(株)が、関係の深い物流会社4社(※)と共にTradeWaltz 導入を契機とした物流DXを共同推進し、トレードワルツの企業価値向上を目指し、本年7月に設立したジョイントベンチャー。現状の兼松持ち分はTW Linkへ移管し、それに加えてTW Linkからトレードワルツへ追加出資を行う。物流関係の知見提供、荷主・物流会社への利用促進に加え、物流系プラットフォームとの連携等による協力を行っていく。
※川西倉庫(株)、鈴江コーポレーション(株)、大東港運(株)、富士倉庫(株)

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