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2020年度ラストワンマイル物流市場約2.5兆円

2021/07/12

(株)矢野経済研究所は7月12日、2020年度の国内ラストワンマイル物流市場が前年度比127%の2兆5,380億円とばったと推計した。

新型コロナウイルスの影響による人々のライフスタイルの変化に伴い、ラストワンマイル物流は人々の生活を支えるインフラとして貢献。「巣ごもり需要」において大きく伸長する結果となった。

主な市場拡大要因は、
(1)通信販売市場の拡大に伴う宅配便取扱個数の増加
(2)デリバリー機能を持たない飲食店の代わりに配達を担う「配達代行サービス」の拡大
(3)高齢者をはじめとしたネットスーパー利用の拡大、等が挙げられる。

課題とされていた再配達は新型コロナウイルスの影響で在宅率の増加に加え、「置き配」・「宅配ボックス」等の普及により受け取り方の多様化が進み、都市部を中心に減少傾向にある。

本調査では、ラストワンマイル物流市場を「通信販売」、「ワンタイム型デリバリー(ピザや寿司等の出前、ファミリーレストラン・ファストフード等の既存店舗を活用したデリバリー事業等、配達代行サービス)」、「定期販売型デリバリー(在宅配食サービスや生協の個配等、配送先や配送頻度等がある程度決まっているデリバリー事業等)」、「個人間宅配」の4分野としている。

●配達代行サービス
デリバリー機能を持たない飲食店の代わりに配達を担う「配達代行サービス」に注目が集まっている。本調査では、貨物輸送を本業として行う物流事業者ではない、第三の事業者によるラストワンマイル配送を指している。飲食店側からすると、自社配送機能を持たずにデリバリー事業を開始することが可能であり、2020年4月から5月の緊急事態宣言下において利用する飲食店が急増した。​一方、利用者からみると、配達代行サービス事業者のプラットフォームに掲載された多くの飲食店から好きな料理を選び自宅まで届けてもらえる便利なサービスであり、需要は拡大している。今後は構築した配送サービス体制を活かし、料理以外のデリバリーまで分野を拡大することで、市場は拡大していくと予測する。

2023年度のラストワンマイル物流市場規模は2兆9,250億円になると予測している。ラストワンマイル物流市場の約6割を占める通信販売が今後も拡大傾向と見られることから、これに牽引されるかたちで今後も堅調に推移する見通し。その一方、通販市場の荷物量はいずれピークを迎える可能性があること、人口の減少(消費者数の減少)、配送を担うドライバー不足に対する根本的な解決策がないことが課題。

●調査要綱
調査期間:2021年4月~6月
調査対象:BtoC物流に関わる事業者、管轄省庁等
調査方法:矢野経済研究所専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用

●ラストワンマイル物流市場規模の推移と予測

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