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ヤマトホールディングス、中期経営計画「DAN-TOTSU 3か年計画STEP」を策定

2014/01/22

ヤマトホールディングス(株)(本社:東京都中央区)は、創業100周年にあたる2019年度に「アジアNO.1の流通・生活支援ソリューションプロバイダー」として各ステークホルダーの満足度をDAN-TOTSU(ダントツ)にすることを目標に、9か年の長期経営計画「DAN-TOTSU 経営計画2019」を平成23年1月に策定し、「よりグローバルに」「地域と生活により密着しながら」をテーマに事業を展開している。

この「DAN-TOTSU 3か年計画STEP」は、その第2フェーズ(HOP、STEP、JUMPのSTEP)にあたる、最終フェーズのJUMPで大きく飛躍するための中期経営計画だ。

「DAN-TOTSU 3か年計画STEP」では、
・「バリュー・ネットワーキング」構想の推進
・「健全な企業風土」の醸成
を2つの大きな柱として、計画を遂行していくという。

「バリュー・ネットワーキング」構想を積極的に推進し、付加価値の高い事業モデルの創出と、ネットワークの革新によるコスト構造改革を確固たるものにするとともに、顧客との約束を守る「健全な企業風土」の醸成に向けたガバナンスの確立を通じ、事業面、品質面、コスト構造面で地域・社会・顧客・株主・社員の満足度を向上しうる、バランスのとれた経営を遂行するという。

昨年、ヤマト運輸で発生したクール宅急便の社内ルール不徹底を真摯に反省し、デリバリー事業の品質強化による持続的な成長と、「バリュー・ネットワーキング」構想におけるノンデリバリー、グローバル事業の拡大、およびグループ全体のコスト構造のスリム化を両立することで、STEPの最終年度となる2016年度には、連結営業収益1兆5,500億円、連結営業利益900億円を達成するとともに、JUMPで大きく飛躍するためのポテンシャルの高い経営基盤を構築するとしている。

1. 「DAN-TOTSU 3か年計画HOP」の振り返り
(1)2013年度までの3年間(HOP)で、羽田クロノゲート、厚木ゲートウェイ、沖縄国際物流ハブなど、事業基盤やネットワークの強化を図った。
(2)これらの新しい事業基盤やネットワークの革新を武器とした「バリュー・ネットワーキング」 構想を策定し、昨年7月、今後の事業領域の拡大と成長戦略のビジョンを発表した。

2. ヤマトグループを取り巻く環境
(1)2015年のASEAN10か国と日本を含むFTA(自由貿易協定)パートナー諸国6か国によるRCEP(東アジア地域包括的経済連携)が実現すれば、人口約34億人(世界全体の約半分)、GDP約20兆ドル(世界全体の約3割)、貿易総額10兆ドル(世界全体の約3割)を占める広域経済圏となり、この地域での事業基盤の強化は必要不可欠。
(2)競合他社においても、事業規模を維持しながら採算性や効率化を強化する動きがある一方、異業種からのデリバリー事業への参入やM&Aなどによるアジア展開の強化など、さらなる成長を目指す動きが活発化し、より一層の競争激化が予想される。
(3)クール宅急便の社内ルール不徹底により、ヤマトグループが最も大切にしてきた「お客様との約束を守る」という良きDNAへの信頼が揺らいでいる。「信頼回復」は急務。

3. 中期経営計画「DAN-TOTSU 3か年計画STEP」について
(1)「バリュー・ネットワーキング」構想の推進
[1] 多彩な高付加価値モデルの創出
事業基盤の強化と小口多頻度の強みを生かした、高付加価値なBto(企業発物流)におけるオンリーワン・ソリューションの創出を加速するため、デリバリーとノンデリバリーの横断的なグループ一体体制をより強化する。また、これまで試行してきた自治体等との連携による地域生活支援サービスの本格的な事業化を目指す。

上記を推進するため、3年間で総額30億円の研究開発費の予算化、ならびにM&Aを積極的に推進する。
[2] グローバル事業の拡大
2014年度から稼働予定のヤマトグループ国際輸送一貫トレース機能を活用し、アジア各国をつなぐ高付加価値な物流網の構築を進める。

特に、本年1月に設立したASEAN地域統括会社「ヤマトアジア」を中心に、ニーズが顕在化しつつある小口多頻度の調達・納品、国際保冷、国際通販などの物流ソリューションと域内の幹線輸送を組み合わせたグローバルなデマンドチェーンマネジメントという新たな市場を創出する。
また、2015年までに国際クール宅急便のサービスエリアを台湾・シンガポールへ順次拡大する。

[3] 事業基盤の強化
ネットワークの革新など、事業基盤の強化を継続し、物流施設や車両配備に3年間で総額約1,200億円の投資を行い、2016年の大都市間(関東・中部・関西圏)の当日配達の実現に向け、2015年までにトライアル輸送を開始する。
またクロネコメール便については、昨年12月に総務省情報通信審議会郵政政策部会において新たに提案した「外形基準の導入による信書規制の改革」の実現に向け、引き続き働きかけを強化する。

[4] コスト構造の変革
これらの事業基盤のグループ共有をより推進し、荷物が増えても「コストが増えない」「品質が下がらない」「スピードが落ちない」物流を広範囲な事業領域と、広範囲な地域で実現し、物流を原資とした顧客の競争力の向上を支援する。

(2)「健全な企業風土」の醸成
顧客からの信頼を揺るぎないものにするため、グループ全体で社員教育や企業理念の浸透に全力で注力する。
「お客様との約束を守る体制」をより強固にし、事業領域拡大に伴うリスクを低減するために、ガバナンス強化とIT基盤の強化、確立に努める。

[1] ガバナンスの強化
グループ経営の可視化、健全な財務体質の実現、事業の創出と危機管理を両立する戦略的法務の確立、社会的環境の変化に対応しうる人事制度の改定と企業理念の浸透、セキュリティの継続的な強化のためのITガバナンスの確立を通じ、ガバナンスの強化と確立を推進する。

[2] IT基盤の強化
さらなるサービス品質の向上に向け、2016年度までに次世代の情報システムを構築する。グループ全体で荷物の流動量や集配エリアの「見える化」を推進し、荷物の総量予測に基づく、集配改革と的確な体制整備による品質の維持、向上を図る。

[3] CSR活動の推進
環境保護活動「ネコロジー」や、事業を通じて社会的価値を創造するCSVの推進にも、これまで以上に積極的に取り組む。

4. 中期経営計画「DAN-TOTSU 3か年計画 STEP」の2016年度目標数値
連結営業収益:1兆5,500億円
連結営業利益:900億円
連結営業利益率:5.8%
ROE:9.0%超
宅急便取扱個数 国内:18億2,000万個

5. 中期経営計画「DAN-TOTSU 3か年計画 STEP」の2016年度事業別目標数値(合算)
デリバリー事業(非連結含む) 営業収益:12,700億円、営業利益:490億円
BIZ-ロジ事業(非連結含む) 営業収益:1,600億円、営業利益:90億円
ホームコンビニエンス事業 営業収益:800億円、営業利益:15億円
e-ビジネス事業 営業収益:1,100億円、営業利益:140億円
フィナンシャル事業 営業収益:850億円、営業利益:130億円
オートワークス事業 営業収益:800億円、営業利益:50億円
その他 営業収益:450億円、営業利益:15億円
上記数値は消去・調整前であるため、連結営業収益・連結営業利益とは一致しない。

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