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ドラッグストアチェーンで惣菜の取り扱い急増

2019/11/13

(株)矢野経済研究所は11月13日、女性の社会進出や単身・共働き世帯の増加により惣菜(中食)市場規模は増加基調にあり、2018年度は小売金額ベースで前年度比101.9%の8兆9,793億円だったと発表した。

2018年度の商品別構成比は和風惣菜24.8%が最も高く、洋風惣菜19.9%、ファストフード19.0%、米飯18.6%、給食弁当6.9%、中華惣菜5.8%、調理パン2.9%と続く。

近年はドラッグストアや量販店が消費者の来店頻度の向上を目的に惣菜の取り扱いを開始。惣菜(中食)市場への参入企業の増加により競争が高まるなか、惣菜専門店は差別化を図るため、ITを活用した注文やインターネット通販(Eコマース)等のサービス化を検討している。

​ドラッグチェーンは高齢化社会への対応を図り、徒歩での来店客を取込むため、従来より小商圏を想定した出店を強化している。ヘルスケアとビューティケアを中核とする事業モデルに変わりはないが、消費者の来店頻度を高めるため、惣菜の品揃えに注力している。マーチャンダイジング(商品計画・商品化計画)は、スーパーやコンビニを参考に低価格を目玉にする手法が採られている。

特にGenky DrugStoresは、麺類やサラダ、米飯など品目ごとに仕入れを行い、2019年7月には自社で地域配送センターの運用を開始、調理から配送に至る作業全てを内製化するなど、惣菜の取り扱いを本格化させている。

​ドラッグストアチャネルにおける2018年度の惣菜(中食)市場規模は小売金額ベースで367億円と推計。今後も集客を目的とした惣菜の取り扱いが増加するとみられ、2023年度には1,277億円(2018年度比348%)になると予測している。

ドラッグチェーンによる取り扱いが進むほか、惣菜専門店によるチャネル開拓の一環として、フードコートやカフェ、居酒屋を併設した外食店との複数業態等、多種多様なスタイルでの事業展開が活発化していく可能性がある。また、2019年10月の軽減税率適用により、テイクアウト(持ち帰り)需要の増加を見込む。

​​こうした業態の多様化、テイクアウト需要の増加などを伴いながら、惣菜(中食)市場規模は毎年2%程度で成長を続け、2023年度には小売金額ベースで、10兆53億円(2018年度比111.4%)になると予測している。

●調査要綱
調査期間:2019年4月~6月
調査対象:惣菜(中食)参入企業、その他関連研究機関・団体等
調査方法:(株)矢野経済研究所専門研究員による直接面談、インターネット調査、ならびに文献調査併用

●惣菜(中食)市場
本調査における惣菜(中食)は、外食と内食(自宅で食べる手作りの家庭料理)の中間に位置する調理済み持ち帰り食品であり、和風惣菜、洋風惣菜、中華惣菜、米飯(弁当等)、給食弁当、調理パン、ファストフード、調理麺等日持ちがせず購入当日~数日の間に消費する調理済み食品を対象とする。なお、冷凍食品、冷蔵食品(チルド食品)、レトルト食品、レンジ食品等、比較的保存性の高い食品を除く。

●市場に含まれる商品・サービス
和風惣菜、洋風惣菜、中華惣菜、米飯、給食弁当、調理パン、ファストフード、調理麺

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