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段ボール増産続くも原紙増産工事で需給バランス懸念

2019/10/25

(株)矢野経済研究所は10月24日、国内の段ボール市場を調査し、参入企業動向、需要分野別の動向、将来展望を明らかにした。

全国ダンボール工業組合連合会統計資料によると、2018年の国内段ボール生産量は前年比101.3%の143億9,426万平方メートルとなった。

2018年は西日本豪雨をはじめとした天候不順の影響で、青果物用段ボールが前年実績を割り込んだものの、それ以外の需要分野ではほぼプラス成長している。段ボール市場は日本経済の動向と相関性が高く、緩やかな経済成長に連動した結果といえる。さらに猛暑による飲料需要の増加も、飲料用段ボール需要を押し上げる結果となった。

段ボール原紙メーカーは2017年、2018年の2回にわたって段ボール原紙の値上げを実行。これに対し、段ボールメーカーは原紙値上げ額をすべて製品に価格転嫁できたわけではなく、物流費の高騰等もあり収益力が低下している。

その中で、段ボール原紙メーカーは2019年度から2021年度にかけて、約80万t/年の段ボール原紙増産工事を実施する予定。段ボール需要が当面拡大していくとしても、一時的には原紙と製品の需給バランスが崩れることも考えられる。

2019年は関東地方を中心に6月から8月前半まで例年と比較し、極端に日照時間が少なかったため、飲料用の需要が伸び悩んだ。統計資料によると、それでも1月~6月で前年同期比-0.2%(生産ベース)とほぼ横ばいで推移している。

2019年10月の消費増税、国際情勢では米中貿易摩擦等の懸念材料は多くあるものの、2019年の国内段ボール生産量は前年比100.8%の145億800万平方メートルと見込まれている。その後も市場は底堅く推移する見通しで、2018年から2023年までの段ボール生産量は年平均成長率(CAGR)0.57%で推移し、2023年の国内段ボール生産量は148億800万平方メートルになると予測。国内段ボール需要の潜在成長率は1%強とみるが、予測はそれをわずかに下回る見込み。

●国内段ボール生産量推移と予測

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