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2018年度食品宅配市場は前年度比2.8%増に

2019/09/24

(株)矢野経済研究所は9月24日、2018年度の国内食品宅配の市場規模(主要8分野合計値)が前年度比2.8%増の2兆1,399億円だったと発表した。

2016年度に2兆円の大台に乗って以降、少子高齢化の進行で国内の食関連市場が縮小傾向にある中、同市場は堅調な伸びを示している。

少子高齢化や女性の社会進出といった社会的要請を受けて、食品宅配サービスは年々その重要性を増している一方で、異業種のみならず業態間の競争も激化していると分析している。

注目トピックとしては、レシピ(献立)と調理に必要な人数分の食材(カット済みの肉や野菜、調味料等を含む)がセットになった「ミールキット(料理キット)」の市場が好調で、“手作り”にはこだわりたいが、毎日の献立作りや買い物、調理には時間をかけられない現代人のニーズに応えている。

ミールキット(料理キット)は従来、食材(惣菜)宅配分野の商材だが、近年は生協やネットスーパー等が参入して調理メニュー(献立)が拡充され、品質も向上。主要なユーザー層は家事(調理)の時短ニーズが高い子育て・共働き世帯だが、昨今は高齢・単身世帯の需要も高まっており、参入各社は大きな成長を見込んでいる。

需要が拡大するミールキットの利用実態を把握するため、2019年7月に3大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)在住の女性(20代~60代以上)のミールキット利用経験者1,090名を対象に、インターネットアンケート調査を実施。「ミールキットを利用する理由」(複数回答)について、「毎日の献立を考えるのが面倒」(46.7%)が最多で、次いで「料理に時間をかけたくない」(35.7%)、「食材が余らない(ゴミにならない)」(31.0%)との結果となった。同調査結果からは調理にかかる時間や手間をできる限り削減したいという時短ニーズに加えて、余計な食材を買って余らせたくない(ゴミにしたくない)という需要も高いことが示された。

一方、食品宅配市場規模(主要8分野合計値)は引き続き順調に推移し、2023年度の市場規模は2018年度比13.0%増の2兆4,172億円に達すると予測。少子高齢化と女性の社会進出、ライフスタイルの多様化を背景に、食事や食品の宅配需要は確実に増加しており、成長を続ける見込み。今後もシニア層や共働き世帯を主要なターゲットに日常利用が加速し、生活に不可欠なサービスとして定着するものと指摘している。

●調査要綱
調査期間:2019年5月~7月
調査対象:在宅配食・食材(惣菜)宅配サービス企業、ファストフード・外食チェーン店運営企業、生協、量販店、乳業メーカー、食品宅配支援サービス企業、その他関連企業・団体等
調査方法:矢野経済研究所専門研究員による直接面談、電話・E-mailによるヒアリング、ならびにインターネットアンケート調査併用

●食品宅配市場とは
同調査における食品宅配市場とは、①在宅配食サービス、②食材(惣菜)宅配、③宅配ピザ、④宅配寿司、⑤外食チェーン・ファストフード宅配、⑥牛乳宅配、⑦生協(個配)、⑧ネットスーパーの主要8分野(業態)を対象とする。但し、いずれの宅配サービスにおいても日用品、雑貨を除く食品群とする。なお、同調査より自然派食品宅配をネットスーパーに含め、コンビニエンスストア(コンビニ)宅配を対象から除外し、かつ市場規模を過去に遡って再算出していることから、過去の公表値とは異なる。

●市場に含まれる商品・サービス
在宅配食サービス、食材(惣菜)宅配、宅配ピザ、宅配寿司、外食チェーン・ファストフード宅配、牛乳宅配、生協(個配)、ネットスーパー

●食品宅配市場規模推移(主要8分野合計値)

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