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ヤマト総研、ジョージア工科大学と覚書

2019/09/11

(一社)ヤマトグループ総合研究所(ヤマト総研)は9月3日、米国のジョージア工科大学フィジカルインターネットセンターと、フィジカルインターネットを通じた日本における革新的な物流システムの構築に関する覚書を締結した。 

昨今、日本ではドライバー不足など物流業界における労働力不足が大きな社会的課題とされているが、同問題は日本のみならず欧米でも深刻化している。

また、地球温暖化に関するCO2削減の課題に対し、積載率の低いトラックが多数走行しているといった事例もある。そのような課題の解決策の1つとして、北米・欧州・アジアでは「フィジカルインターネット」という考え方が研究されており、トラック等の輸送手段が持つ輸送スペースと、倉庫が持つ保管スペースを物流会社同士でシェアリングし、それらの稼働率を高めると同時に、燃料消費量を抑制。環境への負荷を減らすことで、持続可能な社会を実現する革新的な物流システムを指す。

欧州では、2050年 にゼロ・エミッション(※)を達成することが目標として掲げられており、フィジカルインターネッ トはその達成手段の1つと位置づけられている。今回、日本の物流業界が抱える喫緊の課題を業界一丸となって解決することを目指し、ヤマト総研と フィジカルインターネット研究の第一人者である Benoit Montreuil 教授が所長を務める先端研究機関であるジョージア工科大が覚書を締結。日本における本概念の認知向上とともに、物流業界における革新的なシステムの構築を目指す。

※ゼロ・エミッション 
環境を汚染したり、気候を混乱させる廃棄物を排出しないエンジン、モータ、仕組み、またはその他のエネルギー源、を指す。 
 
●覚書の内容
(1)ヤマト総研は日本で深刻化する物流問題の実態に関する情報をジョージア工科大に提供し、ジョー ジア工科大はヤマト総研にフィジカルインターネットに関する知見を提供する。

(2)ヤマト総研はジョージア工科大から得た知見をもとに、日本の物流に関わるステークホルダーに対 して情報発信する。
 
●今後の展開
ヤマト総研内にフィジカルインターネットを研究するための専門組織を立ち上げ、産官学の協力を得て、物流問題に関する研究会を年度内にスタートさせる。同組織では、物流サービス需要者側および物流サービス提供者側の問題を把握し、課題解決の方向性を明らかにするための研究や日本の物流事情をふまえたフィジカルインターネットのシステム設計・構築を推進するための活動を進めるとしている。

●調印式の様子。ジョージア工科大学 Physical Internet Center  Benoit Montreuil 教授(左)と(一社)ヤマトグループ総合研究所の木川眞理事長(右) 

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