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国内キャッシュレス決済、2023年度126兆円に

2019/07/08

(株)矢野経済研究所は7月3日、2018年度の国内キャッシュレス決済市場規模(現金以外の支払い手段での決済総額)が約82兆円に達し、2019年度は約89兆円を超える水準まで拡大するとの予測を発表した。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、訪日外国人客が日本においてもキャッシュレスで商品やサービスの支払いができるように、決済インフラの整備が進められている。その前段階として、2019年のラグビーワールドカップに向けては、特に割賦販売法の改正に伴い、加盟店におけるクレジットカード端末のIC化による不正使用対策や、海外で普及してきているコンタクトレスEMV(クレジットカードの認証手段である非接触IC規格(NFC)の国際規格統一によるコンタクトレス決済)への対応が急速に進んでいる。

このうち、新たな決済サービスとして、QRコード決済の導入事業者および利用者が急速に拡大。同社は国内QRコード決済市場規模は今後は2兆円を突破する水準まで拡大するとみている。

QRコード決済は、中国で普及しているAlipayやWeChatPayの利用者を取り込むことを目的として、日本の加盟店での導入が進んできた。2018年に入り、日本国内でQRコード決済サービスを提供する事業者が急速に増加。導入コストの低さや手数料率の低さを訴求し、導入企業の拡大に取組んでいる。また、QRコードはマーケティング施策との連携のしやすさにも特徴があり、スマートフォンアプリに組み込む形で導入されるケースも増えている。

このため、異業種からの参入が相次いでおり、従来では提供できないような大型キャンペーンを実施する等、キャッシュレス決済市場に大きなインパクトを与えている。

一方、2023年度の国内キャッシュレス決済市場規模は約126兆円まで拡大すると予測。クレジットカード決済を中心にプリペイド決済やデビット決済の拡大が進むとみる。

市場の拡大要因は、政府主導によるキャッシュレス化の推進により決済環境の整備が進み、コンタクトレス決済全体が拡大することが挙げられる。またQRコード決済をはじめとするスマートフォン決済(モバイルコンタクトレス決済)の拡大により、利用者の利便性や利得性が向上することで利用そのものが促進される面もある。

●調査要綱
調査期間:2018年12月~2019年4月
調査対象:国内の主要ペイメントサービスプロバイダー(PSP)、クレジットカード会社、プリペイド発行事業者、デビットカード発行事業者、QRコード決済サービス提供事業者、決済ソリューション提供事業者、端末ベンダー等
調査方法:矢野経済研究所専門研究員による直接面談、電話・メールによるヒアリング、文献調査を併用
※同調査におけるキャッシュレス決済市場は、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードなどの現金以外の支払い手段で決済(支払)された金額を指し、市場規模は決済額ベースで算出している。その他、キャリア決済、オンライン決済サービス等を含む。

●国内キャッシュレス決済市場規模推移と予測

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