[最新ニュース] 経営/政策

YHC、行政処分および事業改善命令で謝罪

2019/01/23

ヤマトホールディングス(株)傘下のヤマトホームコンビニエンス(株)(YHC)は1月23日、昨年発表した「法人のお客さまの社員向け引越サービスにおける不適切な請求」の件について、同日、国土交通省より貨物自動車運送事業法第33条第1項(※1)に基づく行政処分、および同法第26条(※2)に基づく事業改善命令を受けたと発表した。

これを受け、同社の和田誠代表取締役社長は、ヤマトグループのサービスを利用する全顧客、および関係者へ謝罪した。同社は必要な措置を講じ、具体的改善策等を2月25日までに国土交通省に報告することを予定している。

●法令違反の内容
YHCが法人顧客から受注した社員向け引越サービスのうち、「引越らくらくタイムリーサー ビス」で見積り時に比べて家財が減少した場合等に、約款に反し、請求額の修正を行わずに運賃等を収受していた事案があったことについて、YHCの該当支店が貨物自動車運送事業法第25条第1項(※3)に違反するものとして、同法第33条第1項(※1)に基づく処分を受けた。
 
●行政処分の内容
(1)事業停止
・7日間:高知支店(1月28日開始)
・3日間:豊橋支店(1月28日開始)、周南支店(1月28日開始)、高松支店(1月28日開始)

(2)車両停止
・20日車:米子支店 江津フロンティアセンター ※すでに廃止のため、東広島支店に対し処分
     札幌支店 ※うち10日車は輸送の安全の観点からの処分
     名古屋北支店 ※うち10日車は輸送の安全の観点からの処分
・10日車:事業停止処分の4支店を含め119支店

(3)事業改善命令の内容
同社の引越運送業務に関して、利用者の利便を確保するための業務体制の構築等を求めるため、貨物自動車運送事業法第26条の規定に基づき、以下の措置を講じることを命ずる「事業改善命令」を受けた。
 (a)適正な見積りの実施およびそれを担保するシステムの構築
 (b)見積り内容と実際の荷物量等との整合性の確認体制の構築
 (c)適切な約款の整備
 (d)従業員への教育等の徹底
 (e)社内のコンプライアンス確認機能の強化 

(4)引越以外のサービスへの影響
YHCはすでに昨年8月31日からすべての引越サービスの新規受注を休止しているが、今回の行政処分を受け引越以外のサービス「らくらく家財宅急便」、「快適生活サポートサービス」等が地域により利用できない期間が出る。詳細は以下の表の通り。

(5)今後について
YHCは現在、引越に関わる全サービスについて多方面から点検を行っており、「引越らくらくタイムリーサービス」に代わる家族向け新引越サービスはこれまでのサービス内容の抜本的な見直しをはじめ、運用ルールの策定や社員への教育、加えて徹底した対応に不可欠となるシステム構築に時間を要するため、来期以降の再開となる見込み。

また、単身引越等、家族向け以外の引越サービスもコンプライアンスおよびガバナンスの徹底を図るため、約款や業務オペレーションをはじめとした総点検に取り組んでおり、再開時期は未定。

※1:貨物自動車運送事業法第33条第1項 
国土交通大臣は、一般貨物自動車運送事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以内において期間を定めて自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の全部若しくは一部の停止を命じ、又は第三条の許可を取り消すことができる。 
一 この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分若しくは道路運送法 (昭和二十六年法律第百八十三号)第八十三条若しくは第九十五条の規定若しくは同法第八十四条第一項の規定による処分又は許可若しくは認可に付した条件に違反したとき。
二 第五条各号のいずれかに該当するに至ったとき。 

※2:貨物自動車運送事業法第26条 
国土交通大臣は、一般貨物自動車運送事業の適正かつ合理的な運営を確保するため必要があると認めるときは、一般貨物自動車運送事業者に対し、次に掲げる事項を命ずることができる。 
一 事業計画を変更すること。 
二 運送約款を変更すること。 
三 自動車その他の輸送施設に関し改善措置を講ずること。 
四 貨物の運送に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保することができる保険契約を締結すること。 
五 運賃又は料金が利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認められる場合において、当該運賃又は料金を変更すること。 
六 前各号に掲げるもののほか、荷主の利便を害している事実がある場合その他事業の適正な運営が著しく阻害されていると認められる場合において、事業の運営を改善するために必要な措置を執ること。 

※3:貨物自動車運送事業法第25条第1項 
一般貨物自動車運送事業者は、荷主に対し、不当な運送条件によることを求め、その他公衆の利便を阻害する行為をしてはならない。

●行政処分に伴い、引越以外のサービスが利用できないエリア

|↑一覧に戻る|