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海運先進国当局および米国海運関係当局と政策対話

2018/11/05

国土交通省は11月5日、10月29日および30日にカナダ・モントリオールで海運先進国間会議、10月31日およびび11月1日に米国・ワシントンで米国と海運先進国間の会議が開催されたことを発表した。

海運会社が公正な競争条件の下で自由に活動できる環境を確保するため、日本は一部の国々で保護主義的な海事政策が広まっていることに懸念を表明。同会議メンバーで連携して今後さらなる働きかけを行うことを確認した。

海運先進国当局間会議(Consultative Shipping Group:CSG会議)は、国際海運市場への自由アクセスを確保するため、18の海運国の担当部局の協調行動に向けた検討を行う会議で、毎年1回開催されている。

また、2年に一度、米国関係当局とCSGメンバー国との間での政策対話(US-CSG会議)を開催した。

●開催概要
日時:(CSG)平成30年10月29日(月)~10月30日(火)
   (US-CSG)平成30年10月31日(水)~11月1日(木)
場所:(CSG)カナダ・モントリオール、(US-CSG)米国・ワシントン
参加者:海運先進国当局間会議メンバー国(デンマーク(議長)、日本、ベルギー、カナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、シンガポール、スウェーデン、英国)および欧州委員会(EC)の海運政策担当者米国(運輸省、連邦海事局、沿岸警備隊、連邦海事委員会、環境保護庁、国務省、商務省、税関・国境警備局)

●主要議題の概要
(1)海運市況
日本から、新造船発注を目的とした海運助成措置は需給バランスや公平な競争環境を歪曲し、海運市況回復を妨げる恐れがあることを指摘し、各国から支持を得た。上記措置が是正されるようCSGメンバー国で連携して取り組む旨確認した。
 
(2)貿易阻害措置―貨物留保
米国、ロシア、インドネシア等の一部の国で特定貨物の輸送に際し船籍や船社を自国に限定する規制について検討し、
 ・海運自由の原則に反し公平な競争環境を阻害すること
 ・海運会社への不当な参入障壁になること から、
それぞれの国に対してこのような規制を撤廃するようCSGメンバー国が共同で働きかけることを確認した。
 
(3)バラスト水管理条約
バラスト水(船舶のバランス確保のために積み込む重しのための海水)に含まれる微生物の移動による生態系への影響を防止するため、船舶にバラスト水処理装置(海水中の微生物を殺滅等する装置)の搭載等の対策を講じることを求める条約。同条約に基づき、現在運航している外航船は、2019年以降最初の定期検査日までにバラスト水処理装置を搭載する必要がある。この搭載期限が2022年に集中すると見込まれることから、搭載工事の集中による混乱等を避けるため、我が国からCSGメンバーに対し、各国政府が海運業界に対して2022年より前の搭載工事の実施を呼びかけるよう求め、多数国の支持を得た。

(4)米国バラスト水管理規制 
米国は、バラスト水管理条約に代わる自国独自のバラスト水規制を導入している。このため、国際条約に基づき承認されたバラスト水処理装置が、米国内では違法とされる恐れがある。米国政府による承認手続きがこれまで進んでいないことから、現在米国政府が導入している、国際条約で承認されたバラスト水処理装置を認める措置を適切に延長するよう、CSGメンバーから米国に対し申し入れた。
 
(5)新造船の燃費規制(EEDI(Energy Efficiency Design Index)規制)
国際海事機関(IMO)におけるEEDI規制強化に向けた検討が十分なデータ等の分析を踏まえた技術的に適切なものとなるよう、日本からの呼びかけに対しCSGメンバー間で、必要なデータを提供することや、IMOにおける検討プロセスに積極的に参画することの必要性を確認した。
※新造船の燃費規制(EEDI規制):国際海運からのGHG排出削減のため、2013年以降の新造船に、段階的に強化される燃費基準に適合することを求める規制。同規制は、技術開発の動向等を踏まえ、段階的に規制値を強化することになっている。

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