NIPPON EXPRESSホールディングス㈱のグループ会社である日本通運㈱は6月20日、南海トラフ地震など大規模災害発生時にも顧客の物流を止めないための新たな国際輸送BCP(事業継続計画)サービスを開始したと発表した。
同サービスは、全国の拠点ネットワークと韓国・釜山をハブとした国際輸送スキーム、さらに包括保険の導入により、災害時のリスクを最小化し、安定したサプライチェーンを実現する。

図:新たな国際輸送BCP(事業継続計画)サービス
近年、南海トラフ地震の発生リスクが高まる中、日本の主要港湾の多くが太平洋沿岸に集中していることから、地震や津波による物流寸断が大きな課題となっている。特に、東京・横浜・神戸・名古屋・大阪の上位5港で日本全体のコンテナ取扱量の約70%を占めており、これらの港が被災した場合、国内外の物流に甚大な影響が及ぶことが想定される。このような状況を踏まえ、NXグループは全国の拠点網と海外ネットワークを活用し、災害時にも柔軟かつ迅速に物流を維持できる体制の構築を進めてきた。
●新サービスの概要と特徴
同サービスでは、日本通運の全国2,130拠点・1,050倉庫という国内最大級のネットワークを活かし、被災を免れた拠点や動線を活用して安定したサプライチェーンを確保する。日本各地の倉庫で荷受け・通関後、釜山へ転送。NX韓国の釜山港倉庫(NX韓国BGLC倉庫)をハブとし、保税在庫管理や仕分けを行い、欧米・アジア・中東・アフリカなど世界各国への輸送ルートを確保する。さらに、釜山から仁川空港を経由した航空便利用も可能とし、緊急時の多様な輸送ニーズに対応する。同サービスは、輸出だけでなく海外から日本への輸入にも利用可能としている。
また、従来は複数の輸送・保管工程ごとに個別の貨物保険が必要だったが、同サービスでは損害保険ジャパン㈱と連携し、1件の包括保険で日本から釜山、釜山から世界各地までの一貫輸送をカバーする。これにより、保険手続きの簡素化とコスト削減を実現した。
NXグループは、グローバルネットワークを活用し、代替輸送ルートや多様な輸送モードを組み合わせたBCP対応ソリューションを提供することで、顧客の事業継続を支えていくとしている。