(一社)日本物流団体連合会(物流連)は2月20日、令和6年度第4回「海外物流戦略ワーキングチーム会合」を千代田区の全日通霞が関ビルで開催した。

会合が開催された全日通霞が関ビル

今回の会合は、物流事業の海外展開に関する課題を官民連携で検討するもの。第1部の講演会では、(一財)日本規格協会 システム系・国際規格開発ユニットの水野由紀子氏を招き、「物流事業者/顧客における日本主導の国際規格策定」と題して講演した。講演会にはワーキングチームメンバー以外も多数聴講し、Web参加を含めて合計62名が参加した。

第1部講師を務めた日本規格協会の水野由紀子氏

講演は、①物流分野の国際標準化の主な動き、②ISOでの国際標準化活動への参加に向けた、基本的な標準化プロセスや参加方法、の2点の把握・理解を趣旨として行われた。

まず標準化の定義やそれが持つ働きについて、互換性確保を念頭に置いた、ねじの規格からスタートしたISOでの標準化が、その後、品質や環境、さらには社会システムやサービス分野へ拡大されてきた歴史に沿って解説された。

続いて、日本が提案し、幹事国・議長国となって進めたコールドチェーン物流規格のISO/TC315(専門委員会)を例に、スコープ(適用範囲)や国際体制(主要メンバー18か国(Pメンバー)とオブザーバーメンバー13か国(Oメンバー)の違い)、TC(Technical committee)の下で複数のWG(Working group)が実務を担当していること等、TCの運営の実際について説明された。また、中国の提案で2024年に設置されたイノベーティブ物流の規格であるTC344を例に、標準化においても国同士の利害・権益が無関係ではないこと等、実務にも長けた水野氏ならではの解説をされた。

さらに、ISO規格の開発プロセスについて、開発期限が最大36か月で進むNP(New proposal 提案段階)からIS(International standard 発行段階)までの6段階や、NP段階ではスピード感をもって積極的に提案していくことのメリット等について説明があった。

第2部のワーキングチーム会合は、Web参加を含めて合計34名が参加した。国土交通省 物流・自動車局 国際物流室 室長の牧野武人氏から「最近の国土交通省の国際物流政策の取り組みについて」をテーマに、まずは中央回廊カスピ海ルート実証輸送の状況や、国際物流の多元化・強靱化に向けた実証調査事業の進捗について報告された。

国土交通省 牧野武人氏

次に、1月29日にハイブリッド形式で開催した「国際物流におけるリターナブル物流容器(RTI)の適切な管理に向けたセミナー」において、国土交通省からRTIの基礎知識や国土交通省で行っている普及事業を紹介するほか、国際物流におけるRTI管理の現状と課題については2社から、課題解決のための取り組み事例については3社からの発表があったことが説明された。

最後に、来年度の事業に関するアンケート調査結果としてコーカサス・中央アジア地域の視察ツアーに関心が寄せられていること等も報告された。