パナソニック コネクト㈱は2月8日、同社の100%子会社でサプライチェーンソリューションプロバイダーである米国Blue Yonderが、米国時間2月8日に生産および輸送計画・実行を最適化するソフトウェアテクノロジーを提供するドイツflexis AG(flexis社)を買収したと発表した。

パナソニック コネクトによると、今回の発表内容はBlue Yonder 米国本社発表のプレスリリースの抄訳としている。

自動車・産業機械およびOEMメーカーに強力な顧客基盤を持つflexis社の技術が加わることにより、高度にカスタマイズ可能な製品や広範なサプライヤーを持つ企業の、複雑な生産設備やサプライチェーンネットワークの計画・最適化を支援する能力が強化されるとしている。

今回の契約は、Blue Yonderにとって過去3か月で2社目の買収となる。2023年11月には、ファースト・マイル(※1)とラスト・マイル(※2)をよりシームレスに、持続可能で収益性の高いものにすることに特化した英国テクノロジー大手のDoddle社の買収を完了した。これらの戦略的投資は、Blue Yonderの世界最先端のテクノロジーを駆使した包括的なエンドツーエンド・プラットフォームにより、サプライチェーンマネジメント(SCM)を変革するというミッションへのコミットを示している。

※1:ファースト(ワン)マイル:生産拠点から1次流通倉庫までの輸送。
※2:ラスト(ワン)マイル:配送センターや倉庫等から最終顧客への輸配送。

近年、パーソナライゼーションへのシフトが進む中、企業は製品をカスタマイズするオプションを消費者に提供する手法を模索している。flexis社のソリューションを利用することにより、例えば、自動車の購入において消費者は製造前に車両をカスタマイズするあらゆるオプションを利用できるようになるとしている。各種装備のパッケージから、外装および内装の仕上げ、塗装の幅広い選択に至るまで、flexis社のソリューションは、自動車メーカーが組み立てラインでのオーダーを柔軟にスケジューリングし、優先順位付けする能力を備えている。また、受注管理システムと統合することにより、在庫状況、資材の制約、輸配送スケジュール、および生産順序に基づいて生産日を調整し、最適化することもできるとしている。

flexis社の優れた製品群には、生産計画・スケジューリング、オーダースロッティング&シーケンシング、輸送能力計画、車両ルーティング&スケジューリングが含まれており、それらはすべてAPIベースのマイクロサービス・アーキテクチャで提供される。それらのソリューションはS&OP、オーダーフルフィルメント、需要予測、労務管理、物流管理、倉庫管理等を含むBlue Yonderの包括的なサプライチェーンソリューションを完全に補完するものとしている。関係者のコメントは以下の通り。

●Blue YonderのCEOであるDuncan Angove(ダンカン・アンゴーヴ)氏のコメント
flexis社のダイナミックなプランニングと柔軟なオーダースロッティング&シーケンシング(OSS)機能により、企業は消費者に優れたサービスを提供し、現代の製造業の課題に対する解決策を洗練された手法で提供することが可能になります。flexis社の実証済みソリューションは、世界の主要な自動車および OEMメーカーから信頼されています。同社の専門知識は、電気自動車の生産の急増、デジタル購買モデル、および受注生産のカスタマイズオプションの進展に代表される現代自動車産業の常に変化するニーズに完璧に対応しています。彼らのビジョンとソリューションは、Blue Yonderのポートフォリオに著しい価値をもたらし、オーダースロッティング&シーケンシング、詳細スケジューリング等のモジュールを備えた生産計画スケジューラ (APS: Advanced Planning and Scheduling) や、S&OP (Sales & Operations Planning 販売事業計画)、輸配送計画、スケジューリング等、計画と実行の全ライフサイクルを通じて付加価値を高めます。顧客はこれらの機能により、自社独自のプロセスにおいて、サプライチェーンマネジメント上の多くの制約を、戦略および、戦術レベル双方でエンドツーエンドで管理することが可能になります。

●IDCワールドワイド・サプライチェーンプランニング リサーチディレクターのEric Thompson(エリック・トンプソン)氏のコメント
IDCは、近年のサプライチェーンプランニング(SCP)領域における Blue Yonder の成長に注目しています。自動車メーカーが独自の課題に対応したツールでサプライチェーンの高度化、正確性、効率性の向上を模索している今、Blue Yonderのコグニティブ(認知的)プラットフォームと、flexis社の適応力があり、市場で実績のあるソリューションの組み合わせは、エンドツーエンドのサプライチェーンの複雑さをより適切に管理し、迅速なROIを実現するソリューションを提供します。flexis社の買収は、Blue Yonderの市場におけるエンドツーエンドのポジショニングを強化し、サプライチェーンマネジメント・ソリューションのエコシステムに、論理的な付加価値をもたらすでしょう。

●flexis社のCEOであるPhilipp Beisswenger(フィリップ・バイスヴェンガー)氏のコメント
Blue Yonderは長年にわたりサプライチェーンマネジメントのリーダーとして知られており、世界最大のエンドツーエンド・プラットフォームを提供するというビジョンを一貫して追求しています。我々の経験豊富なチームが、エンドツーエンドのポートフォリオを活用して、そのミッションに貢献できることを誇りに思います。我々のテクノロジーを組み合わせることにより、eコマースをベースとした個々の発注から、受注生産の工程を経て、長期的な部品および資材調達計画に至るまで、よりよい顧客体験の提供を目指す製造企業に大きな価値をもたらします。

●flexis社について
flexis AGは、サプライチェーンの計画と実行を最適化する柔軟で革新的なソフトウェアを専門としている。25年以上にわたってグローバルに事業展開し、2,000人以上のプランナーが各業界で優れた生産と物流ネットワークの成果を実現している。同社の目標は、サプライチェーンを継続的に改善し、企業全体にプラスの影響を与えることにある。flexis社のハイブリッドアーキテクチャを用いて、相互に有益な長期的パートナーシップを構築することにより、これを達成する。同社のテクノロジーは、モジュール化され、カスタマイズ可能で信頼性の高いソフトウェアをアジャイルに開発することにより、強靭なソリューションを提供する。ドイツ(3か所)、アメリカ、カナダ、中国、日本に拠点を構え、革新的なSCMソリューションの導入を成功させるため、世界各地の顧客をサポートしている。
www.flexis.com

●Blue Yonderについて
Blue Yonderは、デジタル・サプライチェーン変革の世界的リーダー。製造企業、小売企業、物流企業はBlue Yonderの活用により、計画からフルフィルメント、輸配送、返品まで、サプライチェーンを最適化している。Blue YonderのAIを組み込んだ相互運用可能なサプライチェーンソリューションは、統合プラットフォームとデータ・クラウドを介してエンドツーエンドで接続され、ビジネスが機能横断的にリアルタイムで連携できるようにすることで、より俊敏な意思決定、顧客満足度の向上、収益性の高い成長、より強靭で持続可能なサプライチェーンをサポートする。Blue Yonderは企業および個人がその潜在能力を十分に発揮するようサポートしている。
https://blueyonder.com/jp/ja/

●パナソニック コネクト㈱について
2022年4月1日、パナソニックグループの事業会社制への移行に伴い発足した、B2Bソリューションの中核を担う事業会社。グローバルで約2万9,500名の従業員を擁し、売上高は1兆1,257億円(2022年度)を計上している。「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」をパーパス(企業としての存在意義)として掲げ、製造業100年の知見とソフトウェアを組み合わせたソリューションや高度に差別化されたハードウェアの提供を通じて、サプライチェーン、公共サービス、生活インフラ、エンターテインメント分野の顧客をつなぎ、「現場」をイノベートすることに取り組んでいる。