ヤマト運輸㈱は1月11日より、越境EC事業者が利用できる日本向け海上小口輸送サービスを提供を開始した。

独自開発した海上小口貨物の輸入通関・保税システム「OBOS(オーボス)」(※1)を活用することで、韓国からは最短4日、中国からは最短5日で日本の購入者へ商品を届ける。

※1:「Ocean B2C Operating System」の略

越境EC事業者向け海上小口輸送サービス

2021年の世界の越境EC市場規模は7,850億USドルと推計され、2030年には7兆9,380億USドルにまで拡大する(平均成長率約 26.2%)と予測されており、日本向け越境ECではSNS普及による個人購買層の拡大等により、韓国・中国からのアパレルや化粧品等の輸入が毎年増加している(※2)。

輸送方法はマニフェスト等を利用した簡易的な輸入申告手続きが適用されている航空輸送が主流だが、昨今の需要増に伴い、海上輸送で輸送コストと温室効果ガス排出量を抑えながら短時間で大量の通関・保税手続きを可能にする仕組みが求められている。

ヤマト運輸は2013年にAEO通関業者として東京税関の認定・承認を受け、AEO制度(※3)に基づく国際物流サービスを提供。今回、小口貨物の輸出入通関・保税システムの開発で多くの実績を持つ㈱リバティコムと共同で、海上小口貨物の輸入通関・保税手続きを円滑に行うシステム「OBOS」を開発した。OBOSを活用することで、短時間で大量の通関・保税手続きが可能となり、越境EC事業者は海上輸送を利用して低コストかつスピーディーに購入者へ商品を届けることが可能になるとしている。フェリーを利用した場合、韓国からは最短4日、中国からは最短5日で日本の購入者へ届けられるため、販売機会の拡大につながるとしている。なお、OBOSに活用した技術に関しては現在、特許を出願中(出願番号:特願2023-176984)。

※2:出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書」

※3:貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された事業者に対し、税関手続きの緩和・簡素化策を提供する制度。AEOはAuthorized Economic Operatorの略。

●参考プレスリリース:ヤマトグローバルロジスティクスジャパン㈱がAEO制度「認定通関業者」に(2013年4月3日)
https://www.yamato-hd.co.jp/news/h25/h25_03_01news.html

●サービス利用の流れ(韓国・中国発の場合)


韓国・中国から、フェリー等で大阪港・神戸港へ海上輸送する。「OBOS」を活用した通関・保税手続きを行うことで、日本の購入者に注文から最短4~5日で届けることが可能としている。

●OBOSの特長
(1)コンテナ単位の船荷情報を小口通関が可能なデータに自動仕分けをするほか、荷物に貼付した送り状番号とデータを紐付けることでデータと荷物の照合が可能になり、スピーディーな通関・保税業務を実現する。

(2)「NACCS」(※4)を通じて、税関に申告するために必要なデータを自動で作成する。輸入通関の申告が煩雑な課税対象荷物については、税額の自動計算機能等を用い、輸入通関業務を効率化する。

(3)通関・保税運用業務と、国内宅急便発送業務が同一システム内で完結するため、発送までの業務を効率化する。

※4:NACCS…出入港する船舶・航空機および輸出入される貨物について税関など行政手続きおよび民間業務を処理するシステム

●サービス開始日
2024年1月11日(木)から