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大和ハウス工業、次世代環境配慮型物流施設の実証実験を開始

2013/12/06

大和ハウス工業(株)(本社:大阪市)は、2013年12月24日より、スマートマネジメントシステム「D-LEMS(ディー・レムス)」((株)内田洋行との共同開発)などを導入し、CO2排出量を約25%削減(同社比)する次世代の環境配慮型物流施設「D’s SMART LOGISTICS(ディーズ スマート ロジスティクス)」の実証実験を、同社が運営する神奈川県相模原市のマルチテナント型物流施設(特定企業向けの物流倉庫ではなく、複数テナントの入居を想定した物流倉庫)「DPL相模原」で開始すると発表した。

今後、実証実験で採用・効果検証した環境配慮技術を、同社が設計・施工・運営する物流施設に採用していくという。

同社は2011年より、法人顧客向けの建築物について、2020年までに環境負荷「0(ゼロ)」(運用時のCO2排出量をゼロ)を目指す「Smart-Eco Project(スマートエコプロジェクト)」をスタートさせ、その第9弾として、マルチテナント型物流施設「DPL相模原」において、施設内の温湿度環境や空調・換気などを一元管理することができるスマートマネジメントシステム「D-LEMS」や地下免震ピット内の安定した温度の空気を利用し、予冷をおこなう空気還流システムなどを採用し、実証実験を開始することになった。

「DPL相模原」では、照明や換気、空調システムなど設備ごとのエネルギーを見える化し、最適に制御できるスマートマネジメントシステム「D-LEMS」を導入した。同システムにより、施設内のエネルギー状況を把握・制御することができ、消費電力のムダを解消する。

また、パソコンやタブレット端末などを利用して、テナント単位でのエネルギーに関るデータの「見える化」やリアルタイムでの状況監視・制御などを可能にし、テナントの省エネ活動のサポートや業務の効率化を図る。

省エネルギー:「D-LEMS」では、空調機をプログラムによって体感温度が変わらない程度に一定時間停止させることで、居室の快適性を維持したまま消費電力を抑える。あわせて、倉庫内の温度を監視し、外気温と倉庫内温度の状況に応じて、自動で換気装置の運転を制御することで省電力化を図る。
 
見える化:「D-LEMS」では、倉庫内の温度や湿度、照明の点灯状態や、消費電力量などの各データをパソコンやタブレット端末で表示することができ、入居するテナント単位で、設備の状況監視、操作、制御を行うことができる。これにより、消費電力のムダを解消し、設備運用の効率化が可能になる。また、車路や倉庫内の各所に設けられたITV(工場や店舗などで防犯・監視のために用いられるテレビシステム)の画像もリアルタイムで確認することができ、温度センサーと合わせて、倉庫内の異常を早期に感知することができる。

「DPL相模原」では、創エネ・省エネを行う「アクティブコントロール」により、環境負荷を軽減するとともに、自然エネルギーの利用と快適性の向上を図る。

空気還流システム:地下の免震ピットから、空調・換気用の空気を取り込み、夏季の予冷に利用する。夏季の場合、温度が上昇しやすい最上階の気温を、1~3度下げ、その下層階と同等程度にすることができ、作業環境を改善するとともに、冷房効率の向上を図る。

全館LED照明の導入:「DPL相模原」では、施設内の全照明にLEDを導入した。これにより蛍光灯照明と比較して、CO2排出量、光熱費とも約42%の削減が可能(稼働時間12時間/日、年間稼働日数300日で算出)。また、消耗部材の長寿命化により、危険が伴う高所でのメンテナンス作業を削減し、安全にも寄与する。

太陽光発電システム:「DPL相模原」では、今後屋根面に太陽光発電システム(7,126.66平方メートル、1,000kW)を建設し、2014年4月より発電を開始する。発電する電力は全量、東京電力に売電する予定。エネルギー源が無尽蔵で、騒音や排気ガスも出さない太陽光発電システムを、より有効に利用することができる。

物流施設では、災害や事故が発生した際に事業を早期に復旧させることが求められており、地震が頻発する日本においては、地震発生時の対応が重要となる。

「DPL相模原」では、万が一、地震が発生しても荷物や設備のダメージを最小限に抑え、建物の機能を維持し、従業員に安心を提供できるように免震構造を導入した。同システムにより、揺れを最大で約8分の1に軽減することで、上層階の荷崩れを防ぎ、短時間で事業が再開できるようサポートする。

■DPL相模原について
同施設は、2013年3月に開通した圏央道「相模原愛川IC」から約5kmの距離にあり、国道16号線・129号線とのアクセスも良く、広範囲の物流が可能な立地に位置している。また、5km圏内には、13駅の交通機関があることからも通勤の利便性が高く、50万人を超えている人口は労働力確保に有利な環境だ。

倉庫内の柱間距離は10.5m×11.5mのワイドスパンを確保し、倉庫内有効高5.5m、床荷重1.5t/平方メートルの汎用性を持っている。また、各階には34台の接車バース(倉庫スペースと隣接した駐車スペース。荷物の搬出入を容易にするため、作業スペース側よりも低い高さになっている)を設けるとともに、普通車駐車場250台、トラック駐車場38台、駐輪場184台を備えた。車路・バース幅は13mを確保し、2ランプ片側車路を採用することで、物流動線が交錯しないよう配慮されている。

入出荷事務所だけではなく、事務スペースも倉庫と同一フロアに配置し、従業員の動線に配慮した設計となっている。あわせて従業員の利便性を高めるために、1階に厨房施設を導入したコンビニエンスストアを設け、昼食時の弁当や様々な利便サービスを提供する。

<DPL相模原の概要>
建物名称:DPL相模原
所在地:神奈川県相模原市南区麻溝台1丁目13-1
敷地面積:4万1,777.75平方メートル
延床面積:10万2,817.56平方メートル
設計・施工:大和ハウス工業(株)
階数:地上5階建
構造:PCaPC(プレキャストプレストレスコンクリート)造
仕様:各階接車バース、ランプウェイ方式、床荷重1.5t/平方メートル、梁下有効高5.5m

※入居希望企業向け内覧会:2013年12月20日(金)13時30分から、「DPL相模原」にて、入居希望企業向けの内覧会を行う。当日は立地特性や施設規模、「D-LEMS」をはじめとする最新の技術を実際に体感することができる。

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