㈱タイミーは6月12日、センコー㈱と物流センター実証実験の開始に向けて合意したと発表した。実証実験では、6月より印西エリア・浦和エリアで、スポットワーカー活用を前提とした物流センター運営に着手し、庫内のスポットワーカー比率を高め、働きやすい拠点を検証する。

両社合意の記念フォト

将来的には、人手不足の解決に加えて、物流に興味を持った働き手が、経験やスキルを身につけ、キャリアアップできる仕組み作りや業界の繁閑に合わせた労働力移動を目指していくとしている。

●取り組み合意の背景
帝国データバンクの調査によると、2023年度における「人手不足倒産」は過去最多の313件を記録、そのうち物流業においても46件と過去最多を更新した(※1)。同調査によると、全業種平均の52.4%に対して、物流業の人手不足割合は70%前後で推移しており、平均を大きく引き上げている。人手不足倒産は、従業員の退職や採用難、人件費高騰等が要因として発生するため、「2024年問題」によりさらなる事態の深刻化が予想される。

内閣官房の関係閣僚会議においても、物流の効率化に向けて同会議にて決定した「物流革新に向けた政策パッケージ」(※2)に盛り込まれた法改正や施策が順次推進されており、若年層や女性等の多様な人材の活用・育成が重点項目として位置付けられている。

タイミーとセンコーは双方の専門性を活かし、業務を切り分け・平準化に取り組み、学生や主婦・主夫、シニア等のあらゆる層の働き手に対して、経験・スキルに応じて対応できる業務を広げていくことが重要と考え、取り組み合意に至った。

※1:帝国データバンク 人手不足倒産は「倍増」、過去最多の313件(2024年4月5日)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240403.pdf

※2:内閣官房「物流革新及び賃上げに向けた政府の取り組み」(2024年2月16日)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/ik_dai1/siryou.pdf

●センコー㈱ 代表取締役社長 杉本健司氏コメント
センコーは、お客様が抱える物流課題に一体感を持ちながら解決していく姿勢を信条とし、取り扱う商品の種類、輸送手段、輸送範囲を大きく広げてきました。しかし、物流業界を見渡せば、人手不足が深刻化する中で、「経済の血液」ともいえる物流の維持が困難になる未来が予測されます。モーダルシフトやダブル連結トラックの投入、そして中継基地の設置並びにDX化の推進やロボティクス等による省人化・自動化に努めておりますが、2024年問題として知られる労働法改正への対応が最重要課題となっています。センコーは、これまでも女性ドライバーや外国人労働者など多様な人材活用に取り組んできていますが、今回、物流センターにおける運営の更なる一手として、スポットワーカーを活用し、「朝はシニア、昼は主婦や主夫、夕方は学生」等と時間帯によって働き手が変わっても問題なく運営できるよう業務の標準化を行い、業界内で常態化している残業の削減をもできる持続可能な物流センターの実現に向けタイミーと連携いたします。

●㈱タイミー 代表取締役 小川嶺氏コメント
タイミーでは「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」というミッションを掲げ、未経験から業界経験やスキルを身につけられる飲食店「THE 赤提灯」やワーカーの頑張りを可視化し、待遇を向上させる「バッジ」機能の開発に取り組んできました。物流業界においては、コロナ禍以降、業界専門チームを立ち上げ、様々な現場と向き合い、深刻化する人手不足の解決策を提案してきました。その中で、ワーカーレビューと向き合い就業環境改善に努め、定着率を改善させた物流事業者様や、タイミーをきっかけに物流業界の楽しさを知り、長期就業に移行したワーカー等の成功事例が多数生まれています。今回のセンコー㈱との取り組みを通じて、物流関係人口を創出し、労働力移動を促進し、物流業界における積年の問題解決に取り組むとともに、ミッションの実現に向け邁進します。