㈱コロワイドとヤマト運輸㈱は9月15日から、コロワイドグループの「給食事業」拡大に向けて、ヤマト運輸の3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)物流ネットワークを活用した新たな物流スキームの運用を開始した。

コロワイドは、「給食事業」における食材等の出荷業務を、ヤマト運輸の3温度帯に対応したターミナル一体型物流施設へ順次移管する。将来的な出荷キャパシティの拡大に対して柔軟に対応できる出荷・納品体制の実現や安定的な輸送力の確保により、さらなる「給食事業」の拡大を目指す。

両社はサプライチェーン全体の最適化により、温室効果ガス(GHG)排出量の削減や、納品時間変更による給食提供先の生産性向上を図る。

コロワイドグループ「給食事業」におけるヤマト運輸の物流ネットワークによる物流スキーム

コロワイドグループは、外食産業を取り巻く事業環境の変化に対応し、さらなる企業価値の向上を図るため、グループ主力の「外食事業」に加えて「給食事業」の拡大に注力している。特に生産年齢人口減少による市場縮小が懸念される国内市場において、引き続き堅調な需要が見込める「高齢者給食事業」の拡大を見据えた事業ポートフォリオの変革に取り組んでいる。

ヤマト運輸は法人顧客の多様な物流ニーズへの最適化を通して、サプライチェーンの上流から下流まで「End to End」での提供価値の拡大を行っている。

コロワイドグループのマーチャンダイジングを統括する㈱コロワイドMDとヤマト運輸は、外食産業を取り巻く事業環境の変化に対応した持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、2023年3月にリードロジスティクスパートナー(LLP※1)協定を締結した。今回の取り組みはその第1弾となる。

これまでコロワイドグループの「給食事業」における物流は、「外食事業」を中心としたサプライチェーンの中で展開してきたが、「給食事業」と「外食事業」では、給食受託先や店舗への納品時間や頻度、場所等が異なるため、「給食事業」の拡大にあたっては多様な輸配送ニーズへの対応が課題だった。また、納品先によっては積載量が少ないチャーター輸送が必要になることもあり、今後トラックドライバー不足が深刻になる中、安定した輸送力の確保が課題だった。

※1:法人顧客の物流オペレーションとその管理だけでなく、顧客の経営に資するサプライチェーン改革やビジネスプロセス改革等を支援するパートナー

●新しい物流スキームの概要
(1)出荷キャパシティの拡大
ヤマト運輸の3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)に対応したターミナル一体型物流施設と「宅急便」ネットワークを活用することで、拡大する「給食事業」でも多頻度小口配送による多様な輸配送ニーズへの対応と、安定した出荷・納品を実現するほか、拠点にとらわれない給食提供先の拡大が可能となる。

(2)持続可能なサプライチェーンの構築
積載量が少ないチャーター輸送から、「宅急便」ネットワークを活用した輸送に切り替えることで、輸送効率が向上し、輸送におけるGHG排出量の削減に寄与するほか、安定した輸送力の確保も実現する。

(3)納品時間の変更による給食提供先の生産性向上
食材の納品時間が、使用する当日の早朝(6~7時)から使用する前日の日中(14~16時)へ変わることで、比較的業務に余裕のある時間帯に食材の納品・検品が可能となる。当日分の調理や翌日分の仕込みの時間がさらに確保でき、給食提供先の生産性向上を実現する。

給食提供先スタッフの生産性向上イメージ

●今後の展開
2024年3月までに、コロワイドグループの全給食提供先において、新しく構築した物流スキームへ切り替えを完了させる。今後、両社の知見やノウハウを生かし、「外食事業」におけるチャレンジ店舗(※2)、郊外店舗への物流効率化や、「個人向けEC」および「外販事業」の展開、今後さらに拡大が見込まれる「海外事業」等、「給食事業」だけに留まらない幅広い事業領域への展開を検討していく。

また、引き続きコロワイドグループのサプライチェーン全体の可視化・最適化を進めるほか、ヤマト運輸の物流ネットワークを活用することにより、持続可能なサプライチェーンの構築を目指す。

※2:今後の事業拡大や市場マーケティングを目的とした小規模展開店舗