(一社)日本物流団体連合会は6月7日、選考委員会(委員長:学校法人日通学園流通経済大学 野尻俊明理事長)の審議を経て、第23回物流環境大賞の受賞者を決定した。

同賞は「CO2排出量の可視化による脱炭素社会実現に向けた物流提案支援ツール」を開発した日本通運㈱が受賞した。

また、低炭素物流推進賞(2件)、サステナブル活動賞(2件)、先進技術賞(2件)、日本物流記者会賞(1件)、特別賞(14件)の各賞を選定した。

なお、表彰式は6月27日(月)15時より、第一ホテル東京で開催される予定。

●第23回表彰受賞者の概要
【物流環境大賞】
◎受賞者:日本通運㈱
功績事項:CO2排出量の可視化による脱炭素社会実現に向けた物流支援ツール

国内ネットワーク輸送においてCO2排出量を可視化する日本初の検索ツール「ワンストップ・ナビ」を開発。同システムは発着地、貨物重量等を指定すれば、誰でも輸送モード別のリードタイム、CO2排出量を一括で算出可能。また、会員登録により運賃も検索可能で、環境への配慮を含めた顧客への最適な輸送モード提案につなげている。開発にあたり輸送距離の精緻化のため外部地図サービスと連携、顧客が算出結果を外部に公表できるように第三者検証による認証を取得した。その仕組みを活用した「エコトランス・ナビ」は、過去の輸送実績から削減可能なCO2排出量を可視化、脱炭素に取り組む企業のモーダルシフトを強力にサポートするシステムとなる。

【低炭素物流推進賞】(2件)
◎受賞者:味の素㈱ 物流企画部、F-LINE㈱ 常温本部 南関東支店 マルチモーダルサービスセンター
功績事項:"持続可能な社会実現に向けた取り組み" 未来につなぐ物流の構築

関東と関西間の食品輸送について、トラック輸送から鉄道・船舶輸送へ転換し、CO2削減とドライバーの負担軽減を実現した。両社で月1回定例会を実施して個別ルートごとのモーダルシフト難易度を共有化したほか、リードタイムを1日延長することに合意、また、翌々日着ルートのリードタイムから移動中の日曜・祝日を除外することにより月~土の週間の波動が減少、毎日納品が可能になり、荷役作業の平準化や車両手配の負担を軽減した。

◎受賞者:佐川急便㈱、東京九州フェリー㈱
功績事項:横須賀~新門司間高速フェリーに大規模転換~大幅なCO2削減・労働環境改善・レジリエンス強化~

関東から九州への宅配便の輸送について、トラック輸送から海上輸送へのモーダルシフトを実施し、安定的な長距離輸送とCO2削減、ドライバーの運転時間の短縮を実現した。モーダルシフトにあたっては、大規模な転換になるため、フェリー申込方法、シフト台数、ターミナルへの到着時間等、両社で綿密に打合せを行い、安定した定期輸送を確保したほか、トラック輸送からトレーラー輸送に転換し輸送台数を減らすことによって、さらなるCO2削減を実現した。

【サステナブル活動賞】(2件)
◎受賞者:㈱クラベ
功績事項:商品センター(Logistics Center)を基点とした物流CO2削減

静岡県の都田北工場を基点とした海上コンテナのラウンドユースや内貨転用、輸送の集約、免税リターナブルトレイ、ボビンの再利用等の取り組みにより、CO2削減を実現した。

◎受賞者:㈱東芝、SBS東芝ロジスティクス㈱
功績事項:コンテナ本数削減・積載効率向上のための製品開発まで遡った連携改善取り組み

二次電池の輸送において、製品の包装設計を見直し、積載率向上によるCO2削減を実現した。従来、パレットと製品のサイズ・形状が適合しておらず、パレットに隙間が生じていたことから、製品サイズをパレットに合わせて最適化、さらに顧客の製造工程でハンドリング方法を変更することで包装の形状も変更することによりコンテナ積載数を最大で1.9倍まで上昇させ、コンテナ数を大きく削減した。製品仕様が決まってからのロジスティクス視点の製品改善提案の導入は難しいが、今回、製品開発段階から、ロジスティクス視点での取り組みも参画したことで輸送効率を向上させることができた。

【先進技術賞】(2件)
◎受賞者:㈱キョクレイ
功績事項:太陽光発電設備による環境負荷低減と省エネ型省力化機器による庫内作業自動化推進

神奈川県の本牧物流センターに省エネ型省力化機器(パレット搬送型 AGV)4台と太陽光発電設備を導入し、CO2削減および自動化による作業負担軽減を実現した。AGVの導入では、搭載センサによる状況の自動認識機能をもたせることで、有人フォークリフトと交差するエリアでの安全性を確保した。

◎受賞者:ユニ・チャームプロダクツ㈱、住友精化㈱、井本商運㈱、㈱バンテック、㈱日立物流
功績事項:海上コンテナ転用による資材国内輸送と同一コンテナでの製品輸出で環境負荷低減に貢献

兵庫県から福岡県への紙おむつ資材の輸送について、トラック輸送から海上輸送へのモーダルシフトを実施し、CO2削減とドライバーの負担軽減を実現した。モーダルシフトにあたっては、積載量の大きい海外輸出用40HCコンテナを使用することでトラック台数を半減。荷下ろし後のコンテナは、福岡県から海外への紙おむつの輸出品輸送に活用し、紙おむつ資材の国内輸送と製品の輸出品輸送を同一コンテナで行うというスキームを構築した。福岡県での積み込みには自動バンニングマシンを導入し、荷役時間削減も実現した。

【日本物流記者会賞】
◎受賞者:いすゞ自動車㈱
功績事項:大型LNGトラックの量産車開発

国内商用車メーカーとして初めて、CO2削減につながる大型LNGトラックの開発・量産化に成功した。2018年度から行ったモニター車による実証走行では、同級ディーゼル車比10%程度のCO2削減性能、充填時間に関してはディーゼル車とほぼ同等、航続距離は 1,000km超の実力を確認した。

【特別賞】(14件)
◎受賞者:いすゞロジスティクス㈱、㈱牧野フライス製作所、㈱住友倉庫
功績事項:コンテナラウンドユースを活用したCO2排出量削減の取り組み

◎受賞者:SBS東芝ロジスティクス㈱
功績事項:共配運送の効率化による車両台数の削減(輸送CO2排出量の削減)

◎受賞者:SBS東芝ロジスティクス㈱
功績事項:上海発香港向けモーダルシフトによる輸送CO2排出量の削減

◎受賞者:SBS東芝ロジスティクス㈱
功績事項:棚搬送ロボットシステムと太陽光発電設備を導入し、荷役生産性向上と省エネ化の実現

◎受賞者:SBS東芝ロジスティクス㈱
功績事項:中重量物の電機製品のSDGs視点での包装3R改善活動
(1)ReduceとReuseの取り組み:受変電システム用変圧器サプライチェーンの一貫梱包導入による負荷軽減活動
(2)Recycle の取り組み:電機製品一括集合梱包の木箱から強化ダンボール化と資材調達の定期便利用

◎受賞者:山九㈱、㈱サンキュウ・トランスポート・関西、日機装㈱
功績事項:お客様との共同改善による医療部材輸送のモーダルシフト化(省力化・CO2 削減)

◎受賞者:DSロジスティクス㈱、㈱日新、日本通運㈱四国支店
功績事項:松山港を利用したモーダルシフトによるCO2削減、2024年問題への取り組み

◎受賞者:㈱ニチレイロジグループ本社、㈱ニチレイ・ロジスティクス北海道、㈱ニチレイ・ロジスティクス東北、㈱ニチレイ・ロジスティクス関東、㈱ニチレイ・ロジスティクス東海、㈱ニチレイ・ロジスティクス関西、㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国、㈱ニチレイ・ロジスティクス九州、㈱キョクレイ、㈱ロジスティクス・ネットワーク
功績事項:車両待機問題の緩和・解消に向けた「トラックバース予約システム」による入庫車両接車時間の完全予約制導入

◎受賞者:日本梱包運輸倉庫㈱
功績事項:21mフルトレーラー運行と段積みラックの開発・運用による輸送積載率向上

◎受賞者:日本サニパック㈱
功績事項:自社倉庫間在庫移動における陸送から内航船へのモーダルシフトならびに海上コンテナのラウンドユース

◎受賞者:㈱パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、センコー㈱、埼玉南センコーロジ㈱
功績事項:店舗商品の東西拠点間幹線におけるモーダルシフト(鉄道利用)

◎受賞者:不二製油㈱、センコー㈱
功績事項:
①関東物流拠点の京浜エリアから埼玉県北部移転によるトラック由来CO2排出量削減
②関西→関東移送時の中継輸送導入によるドライバー労働時間削減の取り組み

◎受賞者:㈱ユニマットライフ、㈱サーフビバレッジ、川崎近海汽船㈱
功績事項:飲料水海上輸送でSDGs(山梨↔大分 飲料水/返送パレット幹線輸送)

◎受賞者:㈱ランテック
功績事項:「トレーラーを活用した車輌大型化」と「鉄道コンテナへのモーダルシフト」による低炭素輸送