[最新ニュース] 物流・3PL

ヤマト運輸、熊本県の路線バスで客貨混載運行を開始

2016/10/03

ヤマト運輸株式会社と九州産業交通ホールディングス傘下の産交バス(株)は10月3日、過疎化や高齢化が進む中山間地域におけるバス路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的に、熊本県の県南に位置する人吉市-五木村を結ぶ路線バスで「客貨混載」を開始した。

近年、全国の中山間地域等で過疎化や高齢化が進む中、熊本県の南部に位置し、山林に囲まれる五木村と相良村は、年々人口が減少し、高齢化率も約40%になるなど、県内でも特に過疎化や高齢化が進んでいる。両地域では、高齢者の移動手段となるバス路線網の維持と物流の効率化による地域住民への生活サービス向上が課題となっていた。

産交バスは、熊本県のほぼ全域をカバーするバス路線網を保持し、年間約1,650万人を運ぶ県内最大手のバス会社として、県や自治体と緊密に連携を図りながら、効率的で持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けて取り組んでいる。ヤマト運輸は、全国の自治体や企業と連携し、地域の活性化や課題解決に向けてさまざまな取り組みを行う「プロジェクトG(Government)」を推進しており、路線バスによる「客貨混載」も3都道府県*で開始している。

今回、両社が相互連携を図り、宅急便を積載するため、中央部に荷台スペースを確保した路線バスを計2台導入する。このバスには客貨混載専用と分かるように「くらし ハコぶ バス」と銘打ったラッピングを施した。

集荷に関しては、五木村発・人吉市行き路線バスで1日2便運行する。ヤマト運輸のセールスドライバー(SD)が五木村と相良村で集荷した宅急便を相良村のバス停(林業総合センター前)で人吉市行きの路線バスに積み込む。産交バスの人吉営業所で産交バスのドライバーからSD に宅急便を引き渡す。

また配達は、人吉市発・五木村行き路線バスで1日1便運行となる。ヤマト運輸のSDが五木村と相良村の顧客に配達する宅急便を産交バスの人吉営業所で五木村行きの路線バスに積み込み、相良村のバス停(相良村運動公園)でそれぞれの地域を担当するSDに引き渡す。

これにより地域の顧客とっては、地域のバス路線網が維持され、安定的に路線バスを利用できることで、病院やスーパーなど多様な施設へアクセスでき、生活基盤の維持・向上につながる。ヤマト運輸としても、セールスドライバーが五木村と相良村に滞在できる時間が増えるため、当日発送の集荷締め切り時間が15時から17時まで2時間延長されるなど、宅急便のサービスをより便利に利用できるようになる。

産交バスについては、路線バスの空きスペースで宅急便を輸送することで、バス路線網の維持につながる新たな収入源を確保することができる。ヤマト運輸は、五木村と人吉市間のトラック走行距離が60km削減(3往復180kmから2往復120km)になり、CO2排出量の削減にもつながる。

(上)荷台スペース(サイズ:縦230cm×横75cm×高さ110cm)
(下)客貨混載専用バス外観

|↑一覧に戻る|