(一社)日本物流団体連合会は9月26日、令和4年度第2回「海外物流戦略ワーキングチーム会合」を千代田区の全日通霞が関ビルで開催した。

会合が開催された全日通霞が関ビルの会場

物流事業の海外における事業活動に関する課題について官民が連携して検討する会合であり、会員企業や国土交通省から35名が参加した(うち13名がWeb参加)。

令和4年度の同ワーキングチームの調査対象国はバングラデシュ。昨年に引き続き、コロナ禍の影響で海外渡航による実地調査が困難のため、Webを活用し海外の専門機関や進出企業に対し懇談形式を用いて現地の物流実態について調査を行うこととしている。

バングラデシュについては情報量が少なく、正確かつ、企業にとって有益な情報を得るため、同国に詳しい専門家等を招聘し、講演会を開催。今回は(独法)日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部アジア大洋州課の寺島かほる氏を講師として招聘し、「バングラデシュの経済概況と日系企業の動向について」と題し、講演した。講演会には Web一般参加者を含め、合計50名が参加した。

ジェトロの寺島かほる氏

最初に同国の政治・経済の概況について説明がなされた。2022年に日バ国交樹立50周年を迎えたことを報告され、親日的な国民性であることや日本が最大のODA支援国になっていることを説明。輸出の8割を占める縫製業は同国の基幹産業になるが、縫製業への依存度が高いため、他産業への多角化・多様化の促進が課題となっていると解説された。

次に、日系企業の進出動向について外資優遇措置等を具体的に説明。同国政府は経済特区設置を加速させている一方で、道路や橋梁等のインフラ整備を急ぐことも重要課題であると解説。港湾については主要港・チョットグラム港やモングラ港以外に、日系企業による開発が進むマタバリ港等も今後同国の物流経済にとって大きな役割を持つとされている。

最後に駐在員の生活環境等について説明。在留邦人数は2021年12月時点で1,080人、2016年のダッカテロで一時落ち込むも現在は再度増加傾向にあり、日系企業にとって大きなビジネスチャンスと解説された。進出メリットとして、豊富で安価な労働力の確保、繊維産業の強固な基盤、インフラ事業の需要拡大、従業員の誠実な国民性等を挙げ、講演は終了した。

講演終了後、メンバーからはワーカーの技術指導や賃金、インフラ以外の物流に関する課題の有無等幅広く質問がなされ、活発な意見交換が行われた。

続いて、国土交通省総合政策局、物流渉外官の村井香菜氏から「最近の国土交通省の国際物流政策の取り組みについて」と題し説明された。その後、令和5年度予算要求事項や今年度の国際物流のシームレス化・円滑化に向けた調査事項案についての解説や物流に係わる国際標準化の現状を報告された。

国土交通省の村井香菜氏

最後に事務局より、今後の会合予定(第3回:12月、第4回:2月)を報告し、会合は終了した。