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東京海上日動が貨物鉄道用ドラレコを開発、商品車輸送に活用

2017/10/17

東京海上日動火災(株)はこのほど、鉄道輸送などの長時間かつ厳しい環境下での輸送時に活用できる高性能ドライブレコーダーを開発した。環境や使用方法に合わせてオーダーメイドで個別に設計・組み立てる通信機器や防犯カメラなどの開発に実績のある塚本無線(株)と提携して開発したもので、鉄道貨物輸送に使用できる専用のドライブレコーダーの開発は業界初となる。

同ドライブレコーダーでは、小型のバッテリーを搭載しており、長時間の録画機能(持続時間は約3週間程度、記憶容量約500GB)と衝撃吸収ダンパーの内蔵により厳しい輸送環境でも耐えられる耐振機能を備える。また、照明を必要としない暗視性能を備えたIRカメラを搭載し、夜間走行時の撮影も可能。ドライブレコーダーに外付けしたGPS機能により、事前に木の枝などに接触する損害発生ポイントの洗い出しや事故発生ポイントのマッピングが可能となる。

ターゲットとなるのは欧州内における商品車の鉄道輸送だ。商品車を搭載した鉄道が森林地帯などを走行中に木の枝等の障害物に接触し、損害を被る事故が多発。チッピング被害や鉄粉飛散による汚損や雹災(ひょうさい)など様々な損害が発生したが、その実態はブラックボックスとなっていた。

今回開発したドライブレコーダーは、鉄道輸送やコンテナ輸送における商品車輸送中の環境を可視化することにより、輸送中に商品車に損害を与えるようなリスクの洗い出しや、輸送中の事故発生時の原因調査に役立てることができる。ドライブレコーダーで得た映像やデータなどは損害の発生原因の特定のみならず、事故発生場所の木の枝の伐採や障害物撤去などに活用可能だ。特に鉄道輸送は国をまたがるため、これまでは到着時に損害の発生を確認していても、発生場所や原因を客観的に特定できなかったために、改善提案ができなかった他国に対しても、今後は改善や障害物の撤去を進められる。

従来でも輸送中の被害原因の把握のため、鉄道輸送時に既製品のドライブレコーダーを使用されていた。しかし車内に搭載できる自動車などと異なり、外気にさらされる輸送車は屋外と同環境で基本的に電源もなく、長期間設置・移動せざるを得ないなどの条件があることから使用には制約があった。

同社では今後、10月中旬以降に、まずは欧州を横断する鉄道輸送ルート(ハンガリー・ベルギー間)でドライブレコーダーのトライアル導入を行う。今回のノウハウやテクノロジーは、鉄道輸送の環境調査・事故防止へ活用のみならず、コンテナ貨物の輸送におけるコンテナ内(暗所)での撮影や、衝撃が大きい悪路での陸上トラック輸送での利用など、従来のドライブレコーダーでは機能的に対応ができなかった輸送での導入を検討していく。

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