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鴻池運輸、国交省のミャンマー物流近代化実証実験を受託

2016/06/24

鴻池運輸(株)は6月24日、国土交通省物流審議官部門が進めている「平成28年度 物流パイロット事業」の一環で受託した「ミャンマーにおける農産品に係る物流近代化に関する実証事業による調査」の内容を発表した。

今年6月23日~7月13日までの日程で、マンゴーをはじめとする農産品の選定から集荷、配送、輸出のプロセスにおける課題に、同社の提案する品質・鮮度保持技術がどの程度効果的か実証する。

高い経済成長を期待されているミャンマーは、農産品輸出国としても高いポテンシャルを有しており、その輸出額は2013年度の輸出総額(11,204百万ドル)のうち、約2割を占めており、ここ数年で5倍以上に増加した。就労人口は全体の6割を超え、GDPも約3割を占めている一方、生産性が低く、インフラ整備、生産技術の向上、流通の整備が課題となっている。

特に農産品の出荷品質向上・安定化技術や選別技術の遅れに加え、道路事情の悪さ(未舗装比率約8割)や物流技術の低さによる輸送時の品質劣化が大きく、輸出基準を満たさない作物が未だ多いという問題がある。

日本の物流企業の進出に際しても、ティラワ特別経済区の開発などASEAN諸国の新たな物流拠点として注目されているが、交通インフラ整備の遅れや仲介業者(ブローカー)が強い伝統的な流通ルートが中心であることなど課題も山積している。

同社は今回、ミャンマーでマンゴーの輸出に取り組むMyanmar Golden Produce 社(MGP社)の協力の下、マンゴーおよびその他の農産品の生産地から国内外の消費地までの物流における廃棄率の低減と海外の販路開拓を目的とした高付加価値化、品質保持のための対策の有効性の実証実験に取り組む。

まずマンゴーの高付加価値化実験として、主要な生産地であるシャン高原から集荷地マンダレーのMGP社集荷施設にマンゴーを輸送し、炭そ病予防用簡易蒸熱処理装置、光センサー付き選果機などを用いて品質の安定化を図り、その有効性を実証する。

さらに、物流技術・機器を用いた農産品の輸送実験を実施。キャベツ、トマト、ケールなどの野菜を対象に、流通段階における廃棄率が高いミャンマー国内輸送、さらにタイのバンコクまでクロスボーダー定温輸送(越境輸送)を行い、鮮度保持剤、防振パレット、オリコン(折り畳みコンテナ)、振度(衝撃度)・温湿度計測器、冷蔵車両などの提供を通じて効果を実証する。

スケジュール
(1)マンゴーの高付加価値化実験
6月23日:マンダレーにおける選果・蒸熱処理の効果測定

(2)物流技術・機器を用いた農産品の輸送実験
6月27日~30日:シャン高原→ヤンゴン(ティリミンガラー市場)
7月10日~13日:ヤンゴン→バンコク(タイ)

選果機(左)と蒸熱処理装置(右)

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