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日通他、5Gを活用したスマート物流の実証実験を実施

2020/02/20

Wireless City Planning(株)(WCP)と日本通運(株)は2月19日、シャープ(株)およびソフトバンク(株)と協力し、総務省の「多数の端末からの同時接続要求を処理可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討の請負」において、第5世代移動通信システム(5G)およびIoT機器向けLTE規格のCat. M1(カテゴリーエムワン)等を活用して、物流の効率化によるスマート物流の実現に向けた実証実験を、日本通運の江古田流通センター(東京都練馬区)および奈良ロジスティクスセンター(奈良県大和郡山市、シャープの奈良事業所付近)で、2020年1月下旬から2月下旬まで実施していることを明らかにした。

トラックドライバーの不足や働き方改革等に対応するため、効率的な集荷システムの構築が望まれているほか、MaaS(Mobility as a Service)の発展とともに、貨客混載や共同輸送等様々な輸送方法が提案されており、積載データの可視化のニーズが増えてきている。

このような課題やニーズに対して、WCPと日本通運はソフトバンクが開発した「おでかけ5G」(高い通信品質のサービスを局地的に提供できる可搬型5G設備)のネットワークを活用して、LiDAR(レーザースキャナ)(※1)によるトラックの積載状況の可視化や加速度センサ等による荷室への積み込みを判定する実証実験を実施。また、Cat. M1等を活用して、荷物の温度状態および積載重量を確認する実証実験も行った。今回実施した実証実験の詳細は以下の通り。

※1:レーザ照射に対する散乱光を測定し、対象物までの距離や物体の構造を確認できる光学リモートセンシング技術の1つ。

●5GやMECサーバーを活用したトラックの積載状況の可視化および荷室への積み込み判定(江古田流通センター)
トラックの荷室の空き状態を可視化するため、LiDARで取得した荷室の点群データ(※2)を「おでかけ5G」の端末を用いて、トラックと遠隔地にいる管理者へ伝送しました。5Gの大容量通信とMEC※3サーバーを活用することで、荷室の点群データのリアルタイムな伝送・解析が可能になり、管理者画面で積載状況を可視化することができました。また、高頻度でデータを伝送するセンサーを荷物に取り付けて、センサーの加速度データおよび位置情報データを基に、荷物が荷室へ積み込まれたかどうかを判定する検証を行いました。今後、積載率の低いトラックを可視化して空いているスペースの有効活用の検討が可能になることや、ドライバーによる積載状況の確認作業を省力化することが期待されます。

※2:LiDARで測位した反射点の空間的な位置関係を3D空間にマッピングして無数に集めたデータ。
※3:Multi-access Edge Computing:端末から近い位置にデータ処理機能を配備することで、通信の最適化や高速化をすることができる技術。

●Cat. M1のセンサーを活用した荷物の温度状態や積載状態の確認(奈良ロジスティクスセンター)
荷物の温度を確認するため、Cat. M1を採用した温度センサを荷物に取り付けてトラックに積み込み、走行試験を行った。遠隔地にいる管理者の画面で、走行中も途切れることなくリアルタイムに荷物の温度を確認できた。また、LTEを採用した重量センサを荷室に設置して、トラックドライバーと遠隔地の管理者が、シャープが開発したアプリケーションから荷室の総重量や偏荷重を確認できることを検証。これまではドライバーの経験に基づいて積載していたが、偏荷重が発生するとアプリケーションの表示が変わるため、同アプケーションを確認しながら荷室の重量が均一になるように積載することが可能になる。今後、冷蔵品や常温品、割れやすい品等、様々な荷物の状況に迅速に対応できる物流の実現が期待されている。

●実験全体のネットワーク構成図(上)、江古田流通センターでの実証実験(中)、奈良ロジスティクスセンターでの実証実験(下)

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