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食品輸出額5兆円に向けた輸出物流効率化を取りまとめ

2021/04/28

国土交通省・農林水産省は4月28日、農林水産物・食品の輸出拡大のための効率的な物流構築のため、輸出物流に関する有識者と施策の企画実務担当者との意見交換会を開催、その検討結果の取りまとめを公表した。

両省は農林水産物・食品の輸出で2025年に2兆円、2030年に5兆円の輸出目標を達成するため、昨年12月に「農林水産物・食品輸出拡大実行戦略」を策定。輸出を拡大するためには、大ロットで経済的な輸出を実践する等、輸出のための効率的な物流構築が重要であり、輸出拡大実行戦略では、「令和3年夏を目途に結論を得る」としている。そこで、産地と連携した港湾や空港の利活用等の方策、輸出のための集荷等の拠点となる物流施設の整備・活用、海外におけるコールドチェーンの拠点整備・確保等の方策を検討するため、両省は「効率的な輸出物流の構築に関する意見交換会」を実施。実行性のある方策についての検討を行った。

●取りまとめのポイント
同意見交換会(計5回)での検討の結果、「効率的な輸出物流の構築に向けて取り組むべき事項」として以下の取り組みを進めることとなった。
 
(1)最適な輸送ルートの確立
 ・地方の港湾・空港を積極的に活用し、輸出産地からの直行便や主要港への経由便等により国内輸送にかかるコストを削減
 ・京浜・阪神への輸送についても、ストックポイントにおいて大容量コンテナに積み替える、東京23区や大阪市内など市街地の混雑を避ける工夫等によるコスト削減が必要

(2)大ロット化・混載の促進のための拠点確立
 ・重点品目の輸出産地状況を踏まえ、拠点となる地方の港湾・空港に同一品目を集約し、大ロット化や温度等について同じ取り扱いのできるものの混載を実施

(3)輸出産地、物流事業者、行政等が参加するネットワークの構築
 ・拠点となる地方の港湾・空港への集約のため、地域または物流拠点単位でのネットワークを形成し、陸上輸送の時間短縮、大ロット化等によるコスト低減等の方向性を決定

(4)物流拠点の整備
 ・拠点となる地方の港湾・空港周辺に、コールドチェーン対応の施設・機器を整備することで品質管理の向上や大ロット化等に貢献

(5)鮮度保持・品質管理や物流効率化のための規格化、標準化
 ・品目輸出団体が中心となって統一規格・標準を策定し、活用する仕組みが必要

(6)検疫等の行政手続上の環境整備
 ・行政手続のD10化や各種手続のワンストップ化を進める等、港湾・空港やその周辺の物流拠点に必要な手続を簡便に行える環境整備を進める

(7)包装資材・保持技術の開発・実装
 ・包装資材・保管技術の開発を進めることにより、輸送時の鮮度・品質を安価に維持

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