ゼブラ調査で“インテリジェント”企業の割合過去最高
ゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーションは10月15日、第3回となるグローバル調査「インテリジェント・エンタープライズ指数」の結果を発表した。
データ駆動型のビジネス環境下、リアルタイムの情報共有と協働型ワークフローによって現実とデジタル世界を結び付け、イノベーションを推進する企業を、ゼブラは「インテリジェント・エンタープライズ」と定義。「インテリジェント・エンタープライズ」を目指している企業の取り組みや達成度を11の指標でスコアリングしている。今回、“インテリジェント”な企業の割合が前年の49%から61%に増加し、過去最高を記録。業種別に見るとカスタマーエクスペリエンスの向上を目指している小売業界の躍進が目立った。
従業員数別では、「インテリジェント・エンタープライズ」と定義される75ポイント以上の指数を獲得した従業員数250人以上の企業の割合は、2018年の11%から17%に増加。一方、従業員数50~249人の中小企業においても、37%が75ポイント以上を獲得。IoTビジョンを掲げた中小企業の方が、大企業よりも“インテリジェント”な傾向にあることが明らかになった。
●インテリジェント・エンタープライズ指数 調査概要
調査企画:ゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーション
調査方法:オンライン
調査対象:医療、製造、小売、輸送、物流業界の企業でIT運用に関する決定権を持つ 950人(従業員数250人以上、年間売上高500万ドル以上、中小企業は従業員数50~249人のデータが対象)
調査時期:2019年8月12日~9月12日
調査地域:9か国(米国、英国、フランス、ドイツ、メキシコ、ブラジル、中国、インド、日本)
調査項目:11の指標(IoTビジョン、ビジネスエンゲージメント、テクノロジーソリューション・パートナー、導入計画、変更管理計画、使用されるアプリケーション、セキュリティ&基準、ライフタイムプラン、アーキテクチャー/インフラストラク チャー、データプラン、インテリジェント分析)においてインテリジェント・エンタープライズを目指す企業の達成度をスコアリング
●主な調査結果
(1)IoT の導入が加速し、インテリジェント・エンタープライズ指数がさらに上昇
インテリジェント・エンタープライズ指数は、多くの企業がIoTの導入検討から実装段階に移行するに伴い上昇が続いている。2019年の指数は過去最高の61.5ポイントを記録し、前年と比べ 6ポイント近く増加した。これは主として小売および運輸・物流企業のインテリジェント化が進んだことに起因しており、調査を開始した2017年に比べ9ポイント増加した。さらに、アジア太平洋地域においては74%の企業がIoTビジョンを策定しており、うち55%がすでに実装済みで、43%が今後1~3年の間に実装予定であることが判明した。
(2)IoTソリューションやその他データドリブン・テクノロジープラットフォームへの投資は引き続き増加
2019年のグローバル企業による平均支出は640万ドルで、前年比39%の伸びを示した。今後1~2年での増額を計画している企業は86%に達し、50%以上が投資額を21~50%増やす計画。アジア太平洋地域では92%の企業が今後1~2年間でIoTやモビリティへの投資を拡大すると見られる。
(3)インテリジェンスドリブンのソリューション導入が大幅に拡大
IoTソリューションを全社展開しているとの回答は46%で、前年と比べ38%増加した。また、32%が間もなく地域展開を開始するとの見通しを示している。
(4)セキュリティを最優先しつつ、継続的なデータシステム監視にリソースを投入
企業の62%が継続的に自社のIoTセキュリティを監視し、システム保全とデータのプライバシーを確保している。これは前年比4%、2017年との比較で 13%の増加に相当。2017年当時、継続的なセキュリティ監視プロトコルを導入していたのは49%で、システムを定期的に監視していた企業の割合は47%だった。アジア太平洋地域においては、企業の70%がシステム保全とデータプライバシー保護のためにIoTセキュリティを常時、監視している。
(5)企業は単独パートナーとの“インテリジェント”なソリューションエコシステムに移行
単独の戦略的パートナーに“インテリジェンス”ソリューション全般(サードパーティが提供しているコンポーネントやサービスを含む)の管理を委託しているとの回答は49%だった。
(6)中小企業のインテリジェント・エンタープライズ指数、大企業を上回る
中小企業のインテリジェント・エンタープライズ指数は64.5で、大企業の61.5を上回った。これは、中小企業の方が明確なIoTビジョンを持ち、計画実行が進んでいるという結果に基づいている。
●「インテリジェント・エンタープライズ指数」
調査基準はゼブラがハーバード大学テクノロジー&起業センター(TECH)と共同開催した「戦略的イノベーションシンポジウム2016:インテリジェント・エンタープライズ」において、様々な業界の幹部や専門家、政策立案者によって策定されたもの。インテリジェント・エンタープライズの枠組みは、クラウドコンピューティング、モビリティおよびIoTを統合し、企業の資産からの情報を自動的に“検出”するテクノロジーソリューションに基づいている。ステータス、ロケーション、稼働率、優先傾向等、資産から得られた運用データはその後“分析”され、実行可能な知見として適切な人物にベストなタイミングで提供。タイムリーでより良い意思決定をサポートする。