[最新ニュース] 経営/政策

国交省28年度概算要求、効率的な物流に3,170億円計上

2015/12/25

政府は12月24日、平成28年度の概算要求案を閣議決定した。国土交通省分の一般会計は前年度比1.00%の5兆7,767億円で、そのうち、日本経済の再生の項目で「効率的な物流ネットワークの強化」として、前年比6%増の3,170億円が計上された。同予算で(1)三大都市圏環状道路や、空港・港湾などへのアクセス道路などの重点的な整備、(2)環状道路の整備に合わせた首都圏の高速道路における新たな料金体系の導入、(3)大型車誘導区間における道路構造上の支障部分の計画的な解消―――を図る。
 
局別に事業内訳をみると、道路関連は「効率的な物流ネットワークの強化」に1,716億円、鉄道関連は「貨物鉄道の旅客線化」に事業費103億8,100万円、国費17億2,900万円を計上。海事関連では「船員の確保・人材育成」に1億4,500万円、港湾関連では「国際コンテナ戦略港湾政策の深化と加速」として国費826億円を計上している。

「効率的な物流ネットワークの強化」では、圏央道が早期に開通した区間沿線地の製造品の出荷額の伸びが、埼玉県と東京都の全体平均の1.5倍になったことなどを背景に、三大都市圏の環状道路などを中心に根幹的な道路網を重点的に整備。さらに、道路関連では、ETC2.0 を使って道路構造物への影響が大きい大型車を適正なルートに確実に誘導するネットワークを整備する。

「貨物鉄道の旅客線化」では、大阪の環状路線を形成する城東化貨物線を旅客化し、開発が遅れている沿線の活性化、既設路線との結節で鉄道ネットワークの形成と既設路線の混雑緩和を図る。

「船員の確保・人材育成」は、内航船員の著しい高齢化と、外航日本人船員の激減に対応するための施策を実施する。具体的には内航船員を計画的に雇用、訓練する海運事業者に対し、助成金を支給するほか、船員の専門教育機関を卒業していない者に対し、内航船員への就業を促進する。また、若年者が外航海運事業者に就職する際の養成費の一部を補助する外航基幹職員養成事業や、船員として再就職するために必要な技能訓練費の一部を補助する技能訓練事業を実施する。

「国際コンテナ戦略港湾政策の深化と加速」では、集貨、創貨、競争力強化の3つの施策を軸に展開。集貨では、国際戦略港湾以外の港湾から北米、欧州向けに輸送されている貨物などを対象に、国際戦略港湾発着の国際基幹航路の利用への転換を図る「広域集貨促進事業」、国際戦略港湾から東アジア主要港経由で、北米、欧州向けに輸送されている貨物などを対象に、国際戦略港湾発着の国際基幹航路の利用への転換を図る「港湾貨物転換事業」。さらに、国際戦略港湾への国際基幹航路の新規寄港などを実現する「新規基幹航路誘致事業」、国際戦略港湾におけるターミナルゲート前の渋滞緩和を図る「渋滞対策事業」の4つの事業を行う。

「創貨」については、国際コンテナ戦略港湾で流通加工機能を備えた荷さばき施設(上屋)または、保管施設(倉庫)を整備する民間事業者への無利子貸付を実施。「競争力強化」では、大型船が入港できるように国際コンテナ戦略港対象に、国際標準の水深、広さを有する大水深コンテナターミナルなどの整備を推進する。

なお、国際コンテナ戦略港湾では、新規に国際戦略港湾コンテナターミナル高度化実証事業を設定した。そのうち、コンテナ荷役に伴う時間やコストの削減、渋滞緩和を図るための「荷役システム高度化実証事業」では、既存ターミナルにおけるRTG(タイヤ式門型クレーン)の遠隔操作化導入に向けた実証実験を実施し、遠隔操作化の導入促進に向けた環境整備を行う。また、「情報技術を活用した海上コンテナ物流の高度化実証事業」では、ターミナル周辺で発生している渋滞解消などを図るため、ターミナルオペレーターシステムと、車両情報やコンテナ情報の共有し、内陸部コンテナ位置情報の可視化、ターミナルゲート処理の効率化・に液作業の効率化に向けた実証事業を実施。情報技術導入ガイドラインを作成する。

|↑一覧に戻る|