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国交省、物流の将来考える合同会議を開催

2015/12/01

国土交通省は11月30日10時から、東京・千代田区の中央合同庁舎2号館講堂で、「社会資本整備審議会道路分科会第51回基本政策部会(部会長:家田仁東京大学政策研究大学院大学教授)及び交通政策審議会交通体系分科会第3回物流部会(部会長:野尻俊明流通経済大学学長)の合同会議」を開催した。今回は(一社)日本経済団体連合会(経団連)と全日本交通運輸産業労働組合協議会からヒヤリングを行ったほか、答申素案のたたき台をもとに内容の修正を検討した。
 
今後の物流政策の基本的な方向性等について検討している同合同部会では、9月25日の取りまとめ以降、物流小委員会・物流体系小委員会合同会議で「物流事業者の国際競争力の強化」、「物流分野における先進的技術の導入・活用」に関して3回にわたって検討が行われている。これまで、日本通運(株)や(一社)日本パレット協会、日立製作所(株)、大塚倉庫(株)などからヒヤリングを実施してきた。

今回のヒヤリングで経団連は、10月20日に公表した「企業の競争力強化と豊かな生活を支える物流のあり方~官民が連携して、<未来を創る>物流を構築する~」をもとに説明。同連合会産業政策本部の上田正尚本部長は、「物流従事者の高齢化や人材不足の深刻化」や、「eコマースの発展による商流の変化」など、業界の課題と環境変化を改めて示し、「官民連携で課題の克服や新しい産業構造への適切かつ迅速な対応をとらなければ、わが国産業全体の競争力が弱体化するおそれがある」とした。
 
また、収益性のある物流の確立に向けた考え方として、契約書の書面化の徹底や、輸送、付帯作業の明確化が必要とし、既存の物流設計の見直しを進めるために発荷主、着荷主の前向きな対応や関係者の連携による積極的な取り組みに期待する旨を示した。

全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)の住野敏彦議長は、資料「物流関連産業における人材の確保・育成の現状と課題」をもとに説明、運送会社には入社5年で退職する人が半数以上存在することや、40代以降、運送業界は他産業して賃金が低くなることなどで、人材確保が困難な状況を説明、さらに物流コストについては、アメリカと比較して低く、近年5%前後で横ばいを継続していることを示した。

合同会議では答申素案たたき台における今後の施策体系図も示され、物流の将来像としては、多様な関係者との連携、協力を進めることや、先進的な技術を活用することにより、①「事業の省力化・効率化を進めるなど事業を先取り」、②「自らが新たな価値・新たなサービスを次々と生み出し、新たな市場の開拓等を行う」、③「本業を通じた社会貢献により社会における物流の存在価値を更に向上させ、魅力的な産業へ変革」が示され、「モーダルシフトの更なる推進」、「トラック輸送の更なる効率化」、「物流ネットワークの拠点高度化」などが明示された。

●11月30日に開催された合同会議

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